勢いあるテーオーエナジーか、佐賀所属となったグレイトパールか/佐賀記念

2019年02月10日(日) 18:00

スーパーホースへの登竜門の一戦

 2月11日(祝・月)佐賀競馬場で行われる『第46回佐賀記念』。近年の優勝馬で強く印象に残っているのはスマートファルコンとホッコータルマエ。

 スマートファルコンは白山大賞典、浦和記念、兵庫ゴールドトロフィーとすでに3歳で重賞を3勝したのち2009年の佐賀記念を制覇。一方のホッコータルマエはレパードSこそ制していたものの、その後の3歳重賞では惜しいレースが続き、2013年の佐賀記念で古馬の重賞を初勝利。

 それぞれ道筋は違いますが2頭に共通するのはダートクラシック戦線ではタイトルを手にできなかったものの、3歳の後半戦から少しずつ才能開花。4歳になって最初に迎えた佐賀記念を制したのち、その後に続くダートグレードレースで数々のビッグタイトルを手にしたスーパーホースに成長したこと。この2頭にとって佐賀記念は、古馬になってから大きく飛躍を遂げるきっかけになったレースです。

 今年もそんな未来に繋がる夢を見させてくれそうな4歳馬が参戦。テーオーエナジーは昨年5月の兵庫チャンピオンシップで重賞初制覇。続く芝の日本ダービー18着、ジャパンダートダービーはルヴァンスレーヴの5着。

 休養明けのレースでは大きく着順を落としましたが、JBCクラシックでケイティブレイブら古馬の強豪相手に見せ場たっぷりの7着。その後昨年12月の師走S、1月のポルックスSと中山ダート1800mのオープン戦を連勝中。

 昨年来ダートグレード競走で多くの結果を出し続けている明け4歳世代の1頭。コーナーを6回まわる兵庫チャンピオンシップ(1870m)を制していることからも、コース適性もありそう。先行有利と言われる佐賀の2000mで今回1枠1番。すんなり自分の競馬が出来れば自ずと結果が出るに違いありません。

強い4歳世代の一角としてここは力を示したいテーオーエナジー(写真は19年ポルックスS優勝時、撮影:下野雄規)

 JRAからもう1頭の4歳馬、ヒラボクラターシュ。前走はGI・チャンピオンズCでルヴァンスレーヴの9着に敗れましたが、昨年8月のレパードSではグリムのクビ差2着と大健闘。この馬もまた4歳世代期待の1頭で、今回55kg。初の地方競馬場を舞台に、斤量差を活かし上位の争いに加わりたいところ。

斤量を味方にして上位進出を期待したい(写真は18年ラジオ日本賞優勝時、撮影:下野雄規)

 メイショウスミトモは2017年シリウスS、名古屋グランプリを制している重賞2勝馬。58kgの負担重量と、近走の成績からはあまり推せませんが、シリウスS以来の2000mと、実績ある小回りコースで前進があるかも。

復活の時をしたたかに待つメイショウスミトモ(写真は17年名古屋グランプリ優勝時、撮影:高橋正和)

 アスカノロマンも2016年東海S、平安Sを制している重賞2勝馬。同年のチャンピオンズCではサウンドトゥルーの0.1秒差3着とGIでも上位争いをしていましたが、その後は苦戦が続いています。

アスカノロマンも勝利から遠のいているが巻き返しを期待(写真は16年平安S優勝時、(c)netkeiba.com)

 リーゼントロックは昨年12月の東京大賞典(8着)で地方競馬のダートグレード競走初参戦。コーナー6回の小回りコースは初体験で、新しい面を見せてくれるかもしれません。

コーナー6回の小回りコースで変わり身を見せるか(写真は16年仲冬S優勝時、撮影:下野雄規)

迎え撃つ地方馬代表も今年は見逃せない

 

 今回のJRA勢5頭の内訳は4歳馬2頭、8歳馬3頭。近走の成績から8歳勢より、勢いある4歳勢を推したいところ。さらに、それであるならば今回は見逃せない地方馬を猛プッシュしたいと思います。

 佐賀のグレイトパールはJRAから移籍後、現在圧勝続きの2連勝中。3歳秋にダートに転向すると5連勝で平安Sを制覇。11か月の休養を挟み2018年のアンタレスSでミツバを破って6連勝を飾りました。もともとの素質馬が新天地でもうひと花咲かせるか?大注目の1頭。

 前回地方馬が佐賀記念を制したのは11年前2008年、兵庫のチャンストウライで、佐賀所属馬となると1996年のリンデンニシキまで遡ります。グレイトパールは生え抜きの地元馬ではないものの、JRAの牙城を崩し歴史的な快挙なるか期待が集まります。

生え抜きではないが地方馬代表として快挙達成に挑むグレイトパール(写真は18年アンタレスS優勝時、(c)netkeiba.com)

 昨年の九州ダービー栄城賞と高知優駿を制したダービー2勝馬スーパージェット、昨年のレースで4着だったキクノソルも参戦し、前回以上を狙います。

4歳世代のダービー2勝馬、期待がかかる(写真は18年高知優駿優勝時、撮影:稲葉訓也)

 10年連続JRA勢が勝利している佐賀記念。この勝利を足がかりに大きく飛躍すべく4歳馬が勝利を手にするのか?悲願とも言える23年ぶりの地元佐賀所属馬による勝利なるか?例年以上に熱い戦いが繰り広げられそうです。

※次回の更新は2月26日(火)18時。翌日に川崎競馬場で行われる「エンプレス杯」のコラムをお届けします。

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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