2019年03月02日(土) 12:00
物事は決めつけてはいけない、どこか緩んでいる方が偶然が巻き起こると言うが、レースにもそれがある。そこに見られるのが臨機応変のプレイなのだが、競馬のローテーションにも似たところがある。
クラシックへの路線が多様化してきたこの頃は、特に牡馬にその傾向が強い。皐月賞に向う過程が実に様々で、今年はホープフルSを勝ったサートゥルナーリアがぶっつけで出走する予定だし、2歳王者アドマイヤマーズは共同通信杯2着から本番へと進むことになっている。
今週の弥生賞は皐月賞トライアルで本番と同じコースを走るのだが、ここ5年、勝ち馬は出ていない。共同通信杯組が3勝、あとはスプリングSと毎日杯が1勝ずつしていて、弥生賞からは2着3回、3着1回、あとはきさらぎ賞、若葉S、アーリントンC、京成杯から2、3着が1回だけあるといった有様できている。これだけ多様化したのだから、前哨戦としての盛り上がりに欠けるのも仕方ない。
桜花賞が、圧倒的にチューリップ賞組が強く、あとはフィリーズレビュー、阪神ジュベナイルF組がわずかに入着を記録しているだけの牝馬にくらべ、この違いは大きい。
決めつけてはいけないが、こうした動きを前提に今週のトライアルを検証し、これまでにない偶然が起こる余地があるのかどうか見ていきたい。
弥生賞から名馬への足跡を刻む可能性がある馬は、当然いるのだが、これまで無傷の3連勝で弥生賞を制した馬は4頭、アグネスタキオン、ディープインパクト、サトノクラウン、マカヒキでいずれもその後GI馬になっていた。今年のラストドラフトには、唯一この資格がある。
また、1勝馬の弥生賞勝ちはないので、これが覆されたときに偶然が巻き起こったことになる。ただ、昨年のダービー馬ワグネリアンの全弟カントルや、粗削りながら成長段階にあるサトノラディウス、重賞は2勝しホープフルSでやや脚を余したニシノデイジーがいるので、その可能性は少ないと見ておきたい。
一方のチューリップ賞は、この10年で7勝もしている阪神ジュベナイルFからの転戦組が圧倒的に強いので、この一戦で桜花賞がかなり見えてくる。最優秀2歳牝馬ダノンファンタジーが出走するので、特に今年は分かりやすい筈だ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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