フィリーズRは生産者別成績にも明確な傾向がある

2019年03月09日(土) 20:00

 前回3月3日のWIN5は的中なし。発売金額(6億6426万5100円)に払戻率(70%)を乗じた4億6498万5570円が、明日3月10日のWIN5にキャリーオーバーとなっています。

 ちなみに、前回3月3日のWIN5対象レースで優勝を果たした馬の単勝オッズは、1レース目から順に16.0倍→160.1倍→8.1倍→109.8倍→39.1倍。単勝支持率通りに残り票数が減っていき、なおかつ払戻金の上限(発売金額×払戻率、もしくは6億円)もなかったと仮定した場合の配当理論値は、約192億円でした。この数字は2014年11月23日の約87億円を上回る過去最高記録。要するに、前回3月3日のWIN5は史上もっとも難解な決着だったということです。前々回2月24日も的中1票の大波乱でしたが、果たして今回はどうなるでしょうか。

なお、明日3月10日のWIN5はキャリーオーバーの分だけ期待値がアップします。ただし、キャリーオーバーの金額は4億6498万5570円と決まっていますから、発売金額が大きくなればなるほどその恩恵は小さくなる点に注意しなければなりません。明日3月10日の場合、発売金額ごとの期待値は下記の通り。

●発売金額が前回(6億6426万5100円)と同額……140%
●発売金額が10億円……約116%
●発売金額が15億4995万1900円……100%
●発売金額が20億円……約93%
●発売金額が30億円……約85%
●発売金額が過去最高(34億9934万2200円)と同額……約83%
●発売金額が40億円……約82%

 まずないとは思うのですが、発売金額が46億4985万5700円まで伸びると期待値は80%で、単勝や複勝と同じになる計算です。WIN5が極端に的中確率の低い式別であることを考えると、これくらいの期待値アップにどの程度の価値があるかは議論の分かれるところ。気になる方はぜひ当日の発売金額もチェックしてみてください。

 さて、明日3月10日のWIN5は総出走頭数が75頭、総組み合わせ数が73万3824通り(土曜16時現在)。混戦模様のレースも多く、やや難しい回と言って良いでしょう。

◆移設後の金鯱賞は馬格のある馬が優勢

1レース目は4歳以上1600万下、ハンデキャップ競走の甲南S(阪神10R)。高齢馬や大敗直後の馬が多く、昇級初戦のジョーダンキング、マイネルアンファンあたりに注目が集まるかもしれません。

 2レース目は4歳以上オープンの東風S(中山10R)。中山芝1600m外のGIIで優勝経験のあるカツジらが上位人気グループを形成すると思います。

 3レース目は4歳以上GIIの金鯱賞(中京11R)。土曜16時の時点ではエアウィンザー、ダノンプレミアムが人気の中心となっており、アルアイン、リスグラシューなどが続いていました。

 4レース目は3歳GIIのフィリーズR(阪神11R)。こちらは土曜16時の時点だとアウィルアウェイの支持がやや抜けており、キュールエサクラ、プールヴィルらが続く構図です。

 5レース目は3歳オープンのアネモネS(中山11R)。ノーザンファーム生産馬のアイワナビリーヴ、ユナカイト、ルガールカルム、レッドアステルあたりが人気を集めるでしょう。

[伊吹式WIN5ランキング 2019年03月10日版]

1位 中山11R 12.ルガールカルム
2位 中山10R 11.カツジ
3位 阪神10R 5.ジョーダンキング
4位 中京11R 10.アルアイン
5位 阪神11R 17.レッドアネモス
【以上すべての馬を買うと1点買い】

6位 阪神11R 9.メイショウケイメイ
7位 阪神11R 6.プールヴィル
8位 中京11R 8.エアウィンザー
9位 阪神10R 13.マイネルアンファン
【以上すべての馬を買うと12点買い】

10位 中山10R 13.ダイワキャグニー
11位 中山11R 13.レッドアステル
12位 阪神11R 5.アウィルアウェイ
13位 中京11R 7.ギベオン
14位 阪神10R 1.ビッグアイランド
【以上すべての馬を買うと144点買い】

15位 中山10R 3.アストラエンブレム
16位 中山11R 10.ユナカイト
17位 阪神11R 12.キュールエサクラ
18位 阪神11R 16.ココフィーユ
19位 中京11R 1.ダノンプレミアム
20位 中京11R 12.モズカッチャン
21位 中京11R 6.ペルシアンナイト
22位 阪神10R 12.タガノグルナ
【以上すべての馬を買うと1296点買い】

23位 阪神10R 7.メイショウマトイ
24位 中山10R 14.ミュゼエイリアン
25位 中山11R 14.オトナノジジョウ
26位 中山11R 1.アイワナビリーヴ
【以上すべての馬を買うと3600点買い】

 3レース目の金鯱賞(中京11R)は馬格が明暗を分けそう。現在の施行時期に移った2017年以降の傾向を見ると、「“JRAのレース”における最高馬体重が500kg未満だった馬」は[0-0-0-12]と上位争いに食い込めていません。面白そうな馬は何頭かいますが、中心視したいのはアルアイン、エアウィンザーの2頭。アルアインはコース替わりがプラスに働くと思いますし、4連勝中のエアウィンザーも無理に評価を下げる必要はないと思います。

 4レース目のフィリーズR(阪神11R)はこれまでの戦績を素直に評価したい一戦。「“JRA、かつ芝1400〜1600m、かつ500万下から上のクラスのレース”において3着以内となった経験のない馬」は2015年以降[0-0-0-33]、「前走の着順が7着以下だった馬」は2015年以降[0-0-1-28]、「出走数が5戦以上だった馬」は2015年以降[0-1-2-30]と、それぞれ苦戦していました。なお「生産者が社台ファームだった馬」は2015年以降[3-1-1-2]と堅実だったのに対し、「生産者がノーザンファームだった馬」は2015年以降[0-1-0-13]と期待を裏切りがち。社台ファーム生産馬のプールヴィル、レッドアネモス、実績上位のメイショウケイメイが有力です。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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