売上好調な高知競馬で耳にした深刻な厩務員不足

2019年03月23日(土) 12:00

今こそ、職場環境の改善と安定した人材確保を

 21日に看板レースの黒船賞が行われた高知競馬。その日1日の馬券売上は10億円を突破しました。

 2008年度には1年間の総売上が38億8000万円あまりにまで落ち込んだこともあったので、これはまさに隔世の感があります。

 当日、私は2年ぶりに現地観戦。関係者用エレベーターやトイレなどがリニューアルされていて、最近の“好調ぶり”がうかがえました。これからも施設改善は続けられるそうで、高知競馬場は確実に生まれ変わろうとしています。

 ただ、ちょっと気になる話も耳にしました。高知に馬を預けようとする馬主さんは増えているのに、厩務員さんの数が足りず、すぐには受け入れられない、というのです。

 今、日本のあちこちで、人手不足が深刻化しています。私は常々、“競馬は社会を映す鏡”と位置付けているので、「それはそうだろうな」と思いました。

 こういうことを言うと認識不足と指摘されてしまうかもしれませんが、厩務員さんの仕事は、ある意味、介護の仕事と同じくらい、いや、それ以上に大変だと思います。しかも、ほぼ馬に付きっきりの作業で、パートタイマーに任せるわけにもいきません。

 馬券の売上が好調な今こそ、職場環境の改善と安定した人材確保を図ることが必要でしょう。かつてのNARグランプリには、優秀な厩務員さんを表彰する制度がありました。厩務員さんの奮起を促す1つの作戦として、それを復活させてみてはいかがでしょうか?

 さて、黒船賞は高知一番のビッグイベントですが、ばんえい競馬の最高峰レースと言えばばんえい記念。それがいよいよ24日に行われます。当日、私は帯広へ飛んで、トークショーやインターネット中継に出演したり、バックヤードツアーのガイドを務めたりすることになっています。

 今年はオレノココロの3連覇なるかが最大の焦点。勝てば、2003〜06年(4連覇)のスーパーペガサス、07〜09年のトモエパワーに次ぐ史上3頭目の快挙達成となります。

 これに待ったをかけるなら、フジダイビクトリーでしょうか? 先週の当コラムにも書いたとおり、ここは同馬の引退レースなので、陣営は渾身の仕上げで臨むはずです。そして、センゴクエースも楽しみな1頭。ばんえい記念は初挑戦で不安も抱えていますが、このところの勢いからすれば期待していいと思います。馬券は、これらにコウシュハウンカイを加えた4頭に絞って買うつもりです。


 とにかく今年は、全馬無事に完走してくれることを祈ります。どうかみなさん、ばんえい記念に熱いご声援を!!!

 (追伸。先週の当コラムでご紹介した長澤騎手は服部厩舎の所属でした。同騎手の期待馬リュウショウを管理する大河原調教師は長澤騎手にとって“兄弟子”にあたります。お詫びして訂正します)

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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