2019年03月30日(土) 12:00
久し振りに「武士道精神」なる言葉を耳にして、背すじがピーンと伸びた気がした。「勝っておごらず、負けて腐らず」の心を述べた新大関、貴景勝関、実に立派な態度で、「感謝の気持、思いやり」を忘れずにこれからもさらに上をめざすという、その心意気に拍手を送りたい。新しい元号に変わるこの時、今を見つめる良い機会にふさわしい出来事と言っていい。
平成最後となるGI戦、大阪杯として捉えると、これまた、違った感慨が湧く。先日の高松宮記念が波乱だったことを忘れてというのではなく、しっかり受け止めて、勝ったものはおごらず、空しく終ったものは腐らずと、この心でいきたい。流れて行く競馬の時間を想うと、どうしたって、懐かしくなることがあっても、それと同時に口惜しい思いをぬぐえないでいる。
これは、忘れなくてはならないことなのだろうか。いや、そんなことはないだろう。競馬は毎週あるのだから、いつかいい事がある、これも紛れもない事実なのだ。競馬は受け止めることが、実に多い。まるで修業を重ねているようなものだ。それがあって、今の自分があるので、要は、これからの時間(とき)をどうすごしていくかに思いを巡らせるかではないか。ときの節目となる新しい元号が発表され、全てが心機一転、ついでに競馬もそれに便乗しよう。
仕切り直しをして、平成最後の大阪杯という取り組みをするとき、清く、タイトル馬にふさわしいものに勝ってもらいたい。幸い、GIに昇格してから2年、一番支持を集めた馬が勝ってきた。キタサンブラックは、春の天皇賞を勝ち、秋はジャパンCを勝って有馬記念クビ差2着してここに登場していた。昨年のスワーヴリチャードは4歳馬で、ダービー2着、有馬記念4着のあと、前哨戦の金鯱賞を勝って、強い世代を証明するGI初制覇だった。
この流れを受け継ぎぐとどうなるか、大阪杯の今年の勝ち馬が見えてくる。いずれも、有馬記念を戦っていた馬たちだから、自ずと今年もと言いたくなる。GI馬が3世代8頭もいると言っても、4歳馬に目がいくのが今の競馬ということも忘れずに。そして、GIの中でも、クラシック馬の実績にも敬意をはらいたい。今年は、そうなると4歳馬対5歳馬になりそうだ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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