【スパーキングレディーカップ】百花繚乱、新女王の座をかけた大混戦は地方馬にもチャンスあり

2019年07月03日(水) 18:00

圧倒的な存在不在、秋の大一番に弾みをつけるのは?

 7月4日(木)、川崎競馬場で行われる『第23回スパーキングレディーカップ』。砂の女王“ホクトベガメモリアル”と銘打たれているレースらしく、歴代優勝馬にはファストフレンド、トーセンジョウオー、メイショウバトラー、ラヴェリータと名牝の名前が並ぶ。今年は昨年の上位馬不在で、ここまでの戦いを見ても混戦模様。新女王の座を射止めるのはどの馬か、秋の大一番に向けて負けられない戦いです。

このレースの副題にもなっているホクトベガ。95年のエンプレス杯はじめ川崎競馬場で重賞4勝をあげた(写真は97年川崎記念優勝時、撮影:下野雄規)

このレースを3連覇したラヴェリータ。スパーキングレディーCの過去の勝ち馬には砂の名牝の名前が並ぶ(写真は10年ブリリアントS優勝時、撮影:下野雄規)

 今回はどの馬にも勝機あり。JRAの4頭からご紹介しましょう。

 3歳馬・マドラスチェック。芝でも赤松賞(東京・2歳500万下・芝1600m)2着など力を見せていましたが、今年3月、ダートに転向後2連勝でリステッド競走の鳳雛S(京都・3歳OP・ダート1800m)を勝利。牡馬相手に抜かせることなく競り勝った勝負根性は立派。

 ちなみにこの時の2着リワードアンヴァルは6月16日の木古内特別(函館・1勝クラス・ダート1700m)を7馬身差で快勝しています。前走・関東オークスでは逃げ切ったラインカリーナには2馬身届きませんでしたが、3着トーセンガーネットには大差をつけての2着。一昨年のアンジュデジールも関東オークス2着(1着はクイーンマンボ)から勝利を飾っており、距離短縮もプラス材料で、巻き返し可能。

前走関東オークス2着のマドラスチェック。初の古馬との対決でも目が離せない(写真は19年関東オークス出走時、撮影:高橋正和)

 JRA勢で唯一ダートグレード競走を制しているゴールドクイーン。前走・かきつばた記念で、ギャラクシーS(昨年12月・阪神・OP・ダート1400m)から休み明けをものともせず、逃げて連勝を飾りました。2着(2馬身1/2差)だったヤマニンアンプリメがその後、北海道スプリントCを快勝していることからもレベルの高い戦いだったことがわかります。

 問題は距離延長(1600mは初めて)と、久しぶりの左回りコース(昨年3月・中京・昇竜Sで10着)。4歳馬の成長力と勢いで、不安を吹き飛ばす走りを見せてくれるでしょうか。雨予報で不良馬場での優勝経験があるだけに好材料かもしれません。

JRAメンバーで唯一のダートグレード勝ちがあるゴールドクイーン(写真は19年かきつばた記念優勝時、撮影:谷口浩)

 ファッショニスタは重賞勝ちこそ無いものの、昨年のJBCレディスクラシックで3着(1着アンジュデジールから0.1秒差)とJpnIで好走している実力馬。前走・天保山S(阪神・OP・ダート1400m)では逃げて牡馬相手に2着。勝ち馬に抜かれたあと後続に並ばれながらも、もうひと伸びしての2着確保は見せ場たっぷり。初めての地方競馬、川崎コースへの対応がカギとなります。

昨年のJBCレディスクラシック3着馬ファッショニスタ。初の地方競馬出走となる(写真は19年播磨S優勝時、(c)netkeiba.com)

 サルサディオーネは今年に入ってから3戦、川崎記念(7着)、エンプレス杯(7着)、ブリリアントS(東京・L・14着)とすべて2100m戦を使っていまひとつの成績。とはいえ昨年のエンプレス杯3着、クイーン賞2着があり、牝馬戦線では見限れない存在。1600m戦では昨年6月の三浦特別(東京・1000万下)を楽勝しており、久しぶりのマイル戦で復活を狙います。

久々のマイル戦で復活を狙うサルサディオーネ(写真は19年エンプレス杯出走時、撮影:高橋正和)

 地方馬は2008年のトーセンジョウオー以来優勝馬は出ていませんが、2017年大井のララベル2着、2016年大井のブルーチッパー2着、2014年浦和のマイネエレーナ3着。馬券検討には欠かせない存在です。

08年に優勝した船橋所属のトーセンジョウオー。以来、地方馬の優勝は無し(写真は当時中央所属だった05年エンプレス杯出走時、撮影:高橋正和)

地方馬の優勝は長らく出ていないが、一昨年も写真のララベルが2着に入るなど健闘している(写真は17年スパーキングレディーC出走時、撮影:高橋正和)

 川崎のラーゴブルーは昨年のレースではスタートで大きくつまずいて、自分の競馬ができず6着。その後この1年間で5戦4勝2着1回【4-1-0-0】と素晴らしい成績。2018年しらさぎ賞、東京シンデレラマイルに加えて、前走・マリーンCを制覇。ついにダートグレード競走のタイトルを手にしました。5歳で本格化した今、昨年の出遅れた悔しさを晴らし、更なる高みを目指します。

ラーゴブルーは前走のマリーンCでダートグレード競走初制覇。昨年の悔しさを晴らせるか(写真は19年マリーンC優勝時、撮影:高橋正和)

 浦和のミッシングリンクは今回転入2戦目。JRA時代は斎藤誠厩舎(マドラスチェックと同じ)所属で、昨年のTCK女王盃を制覇。転入初戦の前走・京成盃グランドマイラーズでは逃げ切ったベンテンコゾウの2番手からの競馬で3着に粘り、見せ場十分。こちらも牝馬のダートグレード競走勝ち馬で、上位争い必至。好勝負を期待。

前走、地方転入初戦を迎えたミッシングリンク。今回も好勝負を期待(写真は中央所属だった19年エンプレス杯出走時、撮影:高橋正和)

 大井のマルカンセンサーは1月のTCK女王盃で9番人気を覆し2着に好走。現在、地元の牡馬相手に連勝中で、その光る末脚に注目です。

今年のTCK女王盃で2着に好走したマルカンセンサー。その末脚は侮れない(写真は19年プレアデス賞優勝時、撮影:高橋正和)

【今回のイチオシ馬】

・マドラスチェック

ラインカリーナが勝った今年の関東オークスは武藤善則調教師&武藤雅騎手による父子制覇が話題になりましたが、マドラスチェックの鞍上・斎藤新騎手と斎藤誠調教師も親子。話題性十分な、3歳馬と新人騎手のフレッシュなコンビから目が離せません。

【気になる馬】
・ラーゴブルー
地元は川崎コース5戦4勝【4-0-0-1】。加えて1600m戦を中心につかっていることも好材料。昨年のリベンジを!

 圧倒的女王不在の現在、混戦を断つ存在は現れるのか?! 11月の大一番・JBCレディスクラシックも本格的に視野に入ってくる重要な戦いにご注目ください!

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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