【七夕賞】能力を信じて誰よりも早くスパートした菊沢騎手

2019年07月08日(月) 18:00

隠れた幸運も後押しし、約2年ぶりのコンビで重賞初制覇

 稍重発表の芝は、先週のラジオNIKKEI賞(不良)のような渋馬場ではなかったが、どの人馬にとっても難しいレースだった。全盛時の粘り腰はなくとも、快速マルターズアポジー(父ゴスホークケン)がグングン飛ばすことは分かっている。タテ長になること必至の流れの中で、ライバルの動きを確認しながら、どこでスパートするか、スパートできる脚があるか、の勝負だった。

 自身の初重賞制覇がかかる菊沢一樹騎手(21)は、強気だった。マルターズアポジーが飛ばして作ったレース全体のバランスは、前後半「58秒0-61秒6」=1分59秒6。

 「最初の1000mは58秒0で通過…」の実況アナウンスがあった地点で、中団より後方にいたミッキースワロー(父トーセンホマレボシ)は、先頭から15馬身以上は離れていた。直後に2番人気のクレッシェンドラヴ(父ステイゴールド)、1番人気のロシュフォール(父キングカメハメハ)が控えていたが、1200m通過地点あたりからミッキースワローは早くも進出開始。3コーナー手前からは外を回って一気にピッチをあげ、強気にまくり切った4コーナーでは先頭に並んでいた。

 菊沢騎手のミッキースワローの上がりは、この馬場だから「36秒7」。ところが、一歩遅れて必死にスパート態勢に入った2着馬クレッシェンドラヴの上がり「36秒6」が最速であり、4着馬以外の他のライバルはみんな37秒台以上だった。飛ばすマルターズアポジーがいて、ほかにも先行タイプが複数いる渋馬場。だれも流れは読めない。

 最後の200mは13秒0を要したが、大正解だったのが行きっぷりの良さと能力を信じてだれよりも早く果敢にスパートした菊沢一樹(ミッキースワロー)だった。こういう勝利は大きな自信になるだろう。ミッキースワローに騎乗したのは2017年の7月以来、約2年ぶりだった。

重賞レース回顧

菊沢騎手の好判断に導かれ優勝したミッキースワロー。鞍上に初重賞制覇をプレゼント(撮影:小金井邦祥)

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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