あっぱれ!宮下瞳騎手の重賞勝利

2019年07月16日(火) 18:00

母として42歳、まだまだ勝ち星を伸ばしていきそうだ

 15日に名古屋で行われた名港盃。勝ったのは単勝67.3倍の6番人気、牝馬のポルタディソーニ。鞍上は宮下瞳騎手だった。

 この名港盃には、兵庫から有力馬が多数参戦。昨年のJBCクラシック(京都)に参戦(9着)したタガノゴールドは前走六甲盃を制して園田で重賞3勝。メイショウオオゼキは重賞勝ちこそないものの、今年3月の六甲盃でタガノゴールドにハナ差の2着があり、オグリキャップ記念でもカツゲキキトキトにアタマ差2着があった。昨年の摂津盃を制しているタガノヴェリテは昨年の東海菊花賞でカツゲキキトキトの2着。加えて、デビューから11戦無敗で東海ダービーを制したエムエスクイーンの存在もあった。

 それゆえポルタディソーニはここまで重賞2勝しているものの、昨年9月以来勝ち星から遠ざかっており、ほとんど蚊帳の外という人気だった。

 2番枠から抜群のスタートを決め、得意の逃げに持ち込んだポルタディソーニ。ピタリとマークしたのはエムエスクイーンだったが、向正面で手応えがあやしくなって後退。代わって追ってきたのが、前半差のない3番手につけていた兵庫のタガノゴールド。3、4コーナーでは、鞍上・下原理騎手の手がさかんに動いていた。一方、ポルタディソーニの宮下瞳騎手の手応えは楽なまま。

 そして直線、タガノゴールドがじわじわと差を詰め、3番手以下は差が開く一方。ゴール前、ポルタディソーニは一杯になりながらも、懸命に粘っての追い比べ。首の上げ下げとなって、ポルタディソーニがクビ差、残していた。ゴールの瞬間のファンの歓声は、レース映像を通してでも聞こえてきた。

6番人気ながら逃げ切って名港盃を制したポルタディソーニ(写真:愛知県競馬

組合)

 マイペースで逃げると、ときに強さを発揮するポルタディソーニは、昨年2月の梅見月杯でも8番人気(単勝36.1倍)ながら、好位3番手を追走し直線を向いて先頭。ゴール前急追した1番人気、兵庫のエイシンニシパをクビ差でしりぞけての勝利があった。

 主役は、宮下瞳騎手だったと言ってもいいだろう。宮下騎手はこの名港盃での勝利も含め、7月10〜12、15日の名古屋4日開催で6勝を挙げ、開催リーディング2位と好調だった(1位は9勝で大畑雅章騎手)。今年、女性騎手では、同じ名古屋の木之前葵騎手がここまで41勝。宮下騎手も30勝で、ともに昨年以上のペースで勝ち星を重ねている。これは、今年4月から施行された女性騎手永久2kg減の効果も大きいと思われる。ちなみに名港盃は重賞のため、女性騎手の2kg減は適用されていない。

 あらためてになるが、宮下瞳騎手は、2011年8月に一度引退。このときすでに同じ名古屋の小山信行騎手(当時)と結婚していて、その後2人のお子さんの出産を経て、2016年8月、5年ぶりに現役復帰。今年6月には、『令和元年度女性のチャレンジ賞(男女共同参画担当大臣賞)』を受賞し、内閣総理大臣官邸で表彰を受けた。

日本の女性騎手として最多勝記録を更新し続ける宮下瞳騎手(左、写真:愛知県

競馬組合)

 ここまで日本の女性騎手としては最多の通算794勝。区切りの800勝も見えてきた。とはいえ宮下騎手の勝ち星はそれだけでなく、引退前、短期免許で1年半ほど騎乗した韓国でも56勝を挙げている。母として42歳の宮下瞳騎手は、まだまだ勝ち星を伸ばし続けていきそうだ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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