【野中悠太郎騎手】未来を見据えた若武者の胸中「とにかく今はひと鞍ひと鞍」

2019年08月11日(日) 18:00

今週のFace

▲今後の更なる飛躍が期待される野中悠太郎騎手(C)netkeiba.com

昨年の3月末から10月末まで単身、アイルランドに渡り、腕を磨いた野中悠太郎騎手(22)。その成果を証明するかのように、今年はすでにキャリアハイ(13勝=2017年)を上回る18勝(8月4日終了時点)をマークしている。目下の充実ぶりについて、それから今後の方向性など、直撃インタビューで胸の内に迫った。

(取材・文=東京スポーツ・藤井真俊)

海外で得たものを日本で生かす難しさに…

――今年はここまで好調ですね。キャリアハイの数字はもちろん、その中身も単勝万馬券での勝利や、二桁人気での2、3着など、インパクトのあるレースが多いです。

野中 ありがとうございます。支えて下さる関係者の皆さんのおかげもあり、少しずつレースが組み立てられるようになってきました。

――やはり昨年のアイルランド遠征の成果なのでしょうけど…よくよく成績を調べてみると、実は昨年は帰国後に1勝しかしていないんですね。帰国直後のインタビューでは「以前より視野が広がった」と手応えを語っていましたが?

野中 実際には口で言うほど簡単ではなかったですね。何というか、日本の競馬の流れにうまく乗れていなかったんです。イメージと現実が噛みあわないというか…。

――欧州と日本ではまるでレースの質が違いますもんね。

野中 はい。そこで先輩ジョッキーの方々に助言を求めたんです。最初は確か田辺(裕信)さんでした。ちょうど中山開催が始まる前で、ストレッチをしながら色々と話を聞かせてもらいました。

――確かに田辺騎手は中山コースが得意な印象があります。実際に話を聞いてみてどうでしたか?

野中 いや〜目からウロコでしたね(笑)。「あーっ! そういう考え方もあるんだ!」って。戦術的な部分はもちろん、競馬への基本的な心構えなど、本当に刺激になったし、勉強になりました。このことがきっかけで、レースの組み立てに対する考え方も変わりましたし、日本の競馬に適応できるようになっていったと思います。

――なるほど。海外修行で得たものを、日本での騎乗に生かすまでに、少し時間がかかったんですね。具体的に、その“組み立て”の部分で手応えが得られたレースがあったら教えてください。

野中 ホノカ(牝5・菊川)で勝った1回東京の500万下(ダ1400m・2月16日)ですね。戦前に揉まれると良くない部分があると聞いていて、できれば前に…と考えていたのですが、レースでは他に主張する馬がいたので、その後ろにつける形をとったんです。以前の僕だったら、おそらく競ってでもハナに行ったか、慌てて逃げ馬の外に出していたと思うんですよね。でもあの時はキックバックを胸で落とせるポジションで我慢して、冷静に“待つ”ことができたんです。どうしてもそれまでは馬のリズムに重点を置きすぎたり、あるいは流れに乗せることに重点を置きすぎていたように思います。ただこのレースでは、そのバランスが丁度うまくいったというか…。それも想定していた理想のプランと違った場面で、臨機応変に組み立て直すことができた。自分の中で自信になったレースでしたね。

今週のFace

▲8番人気のホノカとの勝利は野中騎手の自信になったレースに(撮影:下野雄規)

――田辺ジョッキーからのアドバイスが大きかったんですね。他の先輩騎手からも助言は求めたんですか?・・・

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