2019年08月09日(金) 18:00
安田記念と関屋記念の関係性とは…!?(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規
真夏のマイル決戦、関屋記念。新潟競馬場外回りの直線は約659m。向こう正面の直線距離も約550mほどあり、都合1200m、75%ほどが直線で構成されるコース。そのせいか毎年のように速い時計での決着が続いており、それに対応できる頑強さが要求されるレースとなっています。“頑強なスピード”と言えばGI・安田記念にも通ずるものがあり、同年の安田記念を使われた馬の好走が目立つレースでもあります。
2002年1着マグナーテン 2003年1着オースミコスモ 2005年1着サイドワインダー 2009年1着スマイルジャック 2012年1着ドナウブルー 2014年1着クラレント 2015年1着レッドアリオン
このパターンの勝ち馬を挙げるだけでも、ざっと7頭。2001年以降、延べ出走頭数27頭で【7-2-2-15】、勝率26%、単勝回収率308%の好成績となっているのです。だからと言って今年安田記念出走のロードクエストやエントシャイデンを買うぞと息巻くのは早計かも知れませんが、そういった傾向があることは理解しておいても損はないはず。たとえばの話、安田記念と関屋記念の過去10年ラップなどを並べてみると、そこから何か見えてくるものがあるかも知れません。
■関屋記念 過去10年ラップタイム 2009年 12.2-10.8-11.6-12.3-12.1-11.3-10.7-11.7 2010年 12.7-11.3-12.2-12.0-11.5-10.6-10.3-12.3 2011年 12.5-10.5-11.5-11.7-11.6-11.8-10.9-12.1 2012年 12.2-10.9-11.9-12.0-11.7-11.1-10.4-11.3 2013年 12.3-10.7-11.5-11.7-11.7-11.8-10.8-12.0 2014年 12.6-10.9-11.4-11.6-11.6-11.5-10.8-12.1 2015年 13.2-11.5-11.7-11.5-11.4-11.2-10.7-11.4 2016年 12.5-11.1-10.8-11.3-11.4-11.9-10.8-12.0 2017年 12.4-11.1-11.7-11.4-11.3-11.1-11.0-12.2 2018年 12.4-10.6-11.2-11.5-11.5-11.2-11.0-12.2 平均 12.5-10.9-11.6-11.7-11.6-11.4-10.7-11.9
■安田記念 過去11年ラップタイム 2009年 12.0-10.6-10.8-11.9-12.1-12.1-11.6-12.4 2010年 12.0-10.7-10.9-11.3-11.4-11.3-11.7-12.4 2011年 12.3-10.7-10.9-11.5-11.6-11.2-11.6-12.2 2012年 12.2-10.7-10.9-11.1-11.4-11.3-11.8-11.9 2013年 12.0-10.7-11.2-11.4-11.7-11.5-11.3-11.7 2014年 12.3-11.1-11.7-12.0-12.0-11.8-12.1-13.8 2015年 12.4-10.8-11.1-11.6-11.4-11.2-11.3-12.2 2016年 12.3-11.0-11.7-12.0-12.1-11.3-10.9-11.7 2017年 12.2-10.6-11.1-11.6-11.6-11.0-11.3-12.1 2018年 12.2-10.8-11.2-11.3-11.3-11.4-11.4-11.7 2019年 12.2-10.9-11.4-11.3-11.2-11.1-11.2-11.6 平均 12.2-10.8-11.2-11.5-11.6-11.4-11.5-12.2
つまり『安田記念に出走した馬が有利』で完結するのではなく、『なぜ安田記念に出走した馬が有利になるのか』を考えていくことが重要になってくるのです。その理由を紐解いてゆけば、安田記念組に限らず、関屋記念で真に狙うべき馬が見えてくるはず。データとして示された事実から、さらにその先を推測して行く。それこそが競馬予想の神髄ではないでしょうか。
■プロフィール 岡村信将(おかむらのぶゆき) 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、 『ラップギア』 と 『瞬発指数』 を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。 『ラップギア』 は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。
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