2019年08月10日(土) 12:00
新潟競馬場の外回りコースの直線は長いと、これは当たり前に知られている。その当たり前が習慣になると、実感が薄れていく。レース実況で双眼鏡を覗いても、ほぼ正面から馬群を見ているのでその距離感は強くない。
そこで4コーナーに入ったら、あと何メートルとしゃべって、その実感を取り戻している。この長い直線だからこそレースに悲喜こもごもが生じるのだが、その長さをどうやって自覚したらいいだろうか。やはり、新潟の直線(外回り)659米の数字を他場と比べておくのが一番だ。
直線が長いコースと言えば、直ぐ東京競馬場が頭に浮かぶが、この526米と比べても新潟は130米以上も長いのだからかなりのものだ。中京競馬場も改修されて長くなったが、それでも新潟に比べたら246米も短い。
これだけの違いは、当然レースに反映している。サマーマイルシリーズ第2戦の関屋記念を見ると、だいたいペースが速くない。外回りの直線が長い分、向正面の直線をゆったりと走らせ、十分に余力を残しておきたいからだ。はっきりスローペースと言えるときは、逃げ切りで勝負が決している。
この5年でも、レッドアリオン、マルターズアポジーのこの2頭がいたし、1分31秒5のレコードで勝った4歳牝馬のドナウブルーの2012年の関屋記念は、前後半の800米が47秒0、44秒5の極端なスローペースを2番手先行して3ハロンの上がりを32秒6でまとめていた。
昨年プリモシーンが勝ったときは、前半45秒7、後半45秒9のほぼイーブンペース。この1番人気の3歳牝馬が中団につけ、長い直線をフルに生かして追いくらべを制していた。桜花賞、NHKマイルCとスタートが悪く力を出し切れずに終わったのを、ひと息入れて別定51キロを生かし切る状態にもってきて、スタートを決めていた。
3歳馬が走るときは、それまであった弱点を克服できていることが多く、4年前に9番人気で3着に健闘したヤングマンパワーは、3ヶ月の休養で体力をつけ、年長馬相手に正攻法の競馬が出来ていた。
とにかく新潟競馬場外回りのマイル戦は、ペースが速くなることはなく、直線659米をどう生かすか、逃げるならどう余力を残しておいてゴールをめざすか、差す馬でも好スタートを切ってある程度のポジションは取っておくことが大切ということになる。いずれにせよ、ペースの乱れはないうえに、1分32秒前後で走れるスピードが求められる一戦だ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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