【横山武史×藤岡佑介】第5回『今はまだまだですけど、最終的には父を負かします!』

2019年08月21日(水) 18:02

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▲佑介騎手が大絶賛の武史騎手、最終回ではどんな素顔が飛び出すのか (撮影:山中博喜)

佑介騎手大絶賛の“ジョッキー・横山武史”。様々なトークで盛り上がった対談も、今回がいよいよ最終回です。ラストのテーマは「武史騎手の5年後、10年後」について。馬との向き合い方、騎乗法、海外遠征…今の正直な本音を明かします。そして対談の最後には、ビッグなご報告が! ぜひ、最後までお見逃しなくご覧ください。

(取材・文=不破由妃子)

減量が取れてからより、取れる前こそが勝負

──飛躍の3年目を驀進中の武史さんですが、ご自身の5年後、10年後はどう描いていらっしゃいますか?

武史 ジョッキーたる者、トップを目指しているのは当たり前のことなんですけど、それと同時に、どんな馬でも乗りこなせるジョッキーになりたいです。人気に応えることもジョッキーの仕事ですけど、人気がない馬をどれだけいい着順に持ってこられるかも大事な仕事だと思うので。

佑介 だとしたら、目指すはやっぱりヨーロピアンとアメリカンの二刀流だな。

武史 そうですね。その馬に合った乗り方ができるのが一番の理想ですから。

佑介 武史は本当に馬に乗るのが好きだよね。武史を見ていると、それがすごくわかる。函館は滞在競馬だから気性に問題がある馬が多いけど、武史は馬が暴れても楽しそうに笑ってるもんな(笑)。馬が好きで、ちゃんとその馬を感じて乗っているから、自然とそうなるんだろうなって。

 この前も、気性が難しいといわれている馬に武史が近づいていくのを見ていたんだけど、案の定、馬は体をグッと硬くして構えていて。武史はそれをすぐに察知して、「ちょっと動かしてください」ってお願いしてたよな。

 で、馬の首を触って、背中をポンポンと叩いて、歩かせながらフッと乗ったら馬も力を抜いて歩き出してさ。何も考えずに近づいてポンと乗ったら、ひっくり返っていてもおかしくない状況だった。大したもんだなと思って見てたんだよ。

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▲武史騎手の馬との接し方を見ていて「大したもんだなと思った」と佑介騎手 (撮影:山中博喜)

武史 僕自身は、あまり意識していないんですけどね。でも、たしかに小さい頃から馬を触るのがすごく本当に好きでした。実は今日の午後も厩舎で馬を触っていたんですけど、しつこくしすぎたみたいでガッツリ噛まれましたけど(苦笑)。

佑介 そうなんだ(笑)。そういう感覚っていうのは、小さい頃からの積み重ねだと思うし、この仕事をしていく上ですごく大事なこと。僕がノリさんや四位さんに教えてもらってきたことを、武史は感覚的にわかっているような気がするもん。羨ましいなと思うし、しかも考えてやっているわけじゃないっていうのが一番いいよね。

──今回の対談を通して思ったんですけど、佑介さん、“ジョッキー・横山武史”を大絶賛ですね。

佑介 今は…そうですね(笑)。

武史 5年後はなんて言われているか…。ちょっと怖いです(苦笑)。

──武史さん、二刀流を目指すにあたって、海外遠征も視野に入っていたりするのですか?

武史 今の時点では何も計画はしていないんですけど、行くとしたら、やっぱりヨーロッパに行きたいですね。

佑介 勢いのあるときに行ったほうがいいと思うよ。そのほうが応援してくれる人もいっぱいいるだろうから。今年は減量が取れる可能性もあるしな。

武史 そうですね。このまま順調に行けば、年末には取れそうです。今は、減量があるうちにどれだけ多くのものを得られるかということに重きを置いて乗ってます。

 もちろん勝つことも大事なんですけど、なんていうのか、今だからこそ簡単に勝ちたくないという思いがあって。ちゃんと得るべきものを得ながら勝ち星を積み重ねた上で、先輩方と同じステージに立ちたい。

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▲武史騎手「勝つことも大事なんですけど、今だからこそ簡単に勝ちたくない」 (撮影:山中博喜)

──減量が取れてから本当の勝負が始まるわけですものね。

武史 よくそう言われますけど、僕はむしろ、減量が取れる前が勝負だと思っています。

佑介 ああ、確かにそうかもしれないね。

武史 減量が取れてからは、明らかに騎乗機会やチャンスが減りますからね。そのときに踏ん張れるかどうかは、減量期間にどれだけ多くのものを得られるかにかかっていると思うので。

佑介 武史は間違いなくいい循環に入ってるよ。勝てば勝つほど欲が出てきて、目標も高くなるからね。今、数を勝っている若手は、やっぱり意識が高いもん。

 話を聞いていても、まずは目標の設定値が高いし、質問してくる内容や話している内容もすごくレベルが高い。それを受けて、俺たちも負けられないなっていう思いになる。武史たちの存在が刺激になってるよ。

──さて、最後になりますが、ひとつご報告が。次回のゲストは、なんと横山典弘騎手です。

with 佑

▲次回のゲストは横山典弘騎手 (C)netkeiba.com

武史 え〜っ!? そうなんですか!

佑介 そうなんです(笑)。なんか聞いてみたいことないの? 直接は聞きづらいけど、こういう場を通して間接的に…みたいな。

武史 普段からよく競馬の話をしているので、改めて聞いてみたいことはちょっと思い浮かばないですけど…。こういう取材の場で、僕のヨーロピアンスタイルの乗り方について父がなんていうのか…それは興味があります(笑)。今でも「お前、いつまであの追い方やるつもり?」って言われてるので(苦笑)。

佑介 どうしても嫌なんだろうね。面白い(笑)。こうなったら、武史の今の追い方で親父をねじ伏せるしかないな。

武史 そうですね! 今はまだまだですけど、最終的には父を負かす気しかないので。いや〜、楽しみだなぁ。次回はここに父が加わるっていうことですもんね?

佑介 違うよ! ノリさんと俺の対談だからね。武史はいなくていいんだよ。

武史 えっ!? 僕、いなくていいんですか?

佑介 ノリさんとの対談なのに、なんでお前がいるんだよ(笑)。ま、サプライズゲストとして途中で乱入してもいいけどね!

(文中敬称略、了)

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「with 佑」とは

JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

藤岡佑介

1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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