前哨戦を終えて、期待が膨らむ凱旋門賞

2019年08月24日(土) 12:00

どうせなら“強敵”を倒しての快挙達成へ

 今年の凱旋門賞、なんだかスゴいことになってきましたね。

 先週、現地でナマ観戦した札幌記念では、ブラストワンピースが優勝、フィエールマンも僅差の3着に入りました。出走登録している両馬がいい走りを見せてくれたので、否が応にも期待が膨らみます。

 もともとフィエールマンはルメール騎手が惚れ込んだ馬。フランス生まれの同騎手はまだ凱旋門賞を勝ったことがないだけに、その一連の言動からは「この馬で何としても優勝したい」という思いが伝わってきます。

 一方のブラストワンピースは、凱旋門賞も今回の手綱を取った川田騎手で臨むことが発表されました。池添騎手の心境や如何に?といったところですが、競馬の世界でこういうことは珍しくありません。札幌記念は内から抜け出す形での勝利。この人馬の“経験”を、ぜひとも本番に繋げてほしいものです。

 そして、もう1頭の登録馬キセキは、無事フランスに到着したそうです。日本馬がみんな同じアプローチで本番に向かうのではなく、それぞれが独自路線を歩んで挑むというのもおもしろいでしょう?

 で、同馬の鞍上に誰が起用されるのか?その成り行きも注目されます。

 この3頭が揃うだけでも興味津々なのに、今度は何と、武豊騎手がA・オブライエン厩舎からブルームへの騎乗依頼を受けた、というニュースが飛び込んできました。同馬は英ダービー4着、愛ダービー6着ですからちょっと物足りなさを感じますが、世界有数の厩舎から凱旋門賞でお呼びがかかる、なんていうのは“快挙”と言っても過言ではありません。

 これまで武騎手が日本を代表する騎手として世界を飛び回っていたからこそのオファー。実に喜ばしいことだと思います。

 さらに、欧州遠征中のディアドラも、愛チャンピオンS参戦の後、凱旋門賞に向かう可能性があるとのこと。競馬は凱旋門賞が“すべて”ではないので、他の選択肢もあるわけですが、もし同馬が出てきたら、2014年の3頭(ハープスター、ジャスタウェイ、ゴールドシップ)を上回る、史上最多の日本馬参戦が実現します。

 まぁみなさんの中には、「そうやって日本馬が束になってかかっても、めちゃめちゃ強いエネイブルがいるから今年も勝てないだろう」と思っている方もいらっしゃるでしょうね。

 もちろん私も、あの馬はとんでもない強敵だと思っています。でも、せっかく日本馬による初の凱旋門賞制覇が成し遂げられるなら、後になって「メンバーに恵まれた」と言われるより、「そういう強敵に勝った」と賞賛されるほうがいいに決まってますよね?

 実は私、新ロンシャン競馬場にまだ行っていないので、今年は早くから、どんなメンバーになろうと凱旋門賞を見に行こう!と決めていました。なので、すでに航空券や入場券は手配済み。今は、遠足の日を待つ小学生のような心境になっています!?

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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