【札幌2歳S】過去データから攻略、好走パターンに合致する出走予定馬は?(無料公開)

2019年08月25日(日) 18:00

 8月31日(土)に行われる札幌2歳ステークス。2000年にこのレースを制したジャングルポケット、2008年ロジユニヴァースの2頭は後のダービー馬となり、2005年アドマイヤムーンは2007年のGI・ジャパンカップを制覇。その他にも数々の活躍馬を世に送り出している。

 一方で、地方所属馬の好走も見逃せない。2001年にヤマノブリザード、2003年にはモエレエスポワールが勝利し地方競馬のファンに夢を与えた。特に、ここ3年は地方所属馬の活躍が目立ち、2016年はトラストがレースを制したのをはじめ、2017年はダブルシャープが3着、2018年にはナイママが2着となるなど3年連続で馬券圏内に入っている。3頭とも翌春のクラシックレースに出走を果たしており、ホースマンなら誰もが夢見るダービー制覇を地方所属馬で達成するための最初の足掛かりとなるレースと言ってもいいのではないだろうか。

 今回は、この3頭の地方所属馬を含め、過去10年に馬券圏内に入った30頭の傾向から好走パターンを探ってみようと思う。

(文:幡野雄一郎、競馬ライター兼芸人)

レース間隔

 まずは前走からのレース間隔だが、馬券に絡んだ全30頭は下記のようになっている。

馬ラエティBOX

 上記の表の通り、中1週〜中5週に30頭中25頭が集中している。この結果を見るとレース間隔はあまり空きすぎないほうが好成績に繋がり易い。

 理由としてレース間隔が短い馬は、前走から北海道に滞在し、長距離輸送なしで臨む馬が多く、精神的にも肉体的にも有利な傾向にあるのだろう。

 また、3ヶ月以上間隔を空けて馬券圏内に入った2頭は、2010年2着のアヴェンチュラ(2011年秋華賞制覇)、2013年1着のレッドリヴェール(2013阪神ジュベナイルF制覇)と、ともに後のGI馬であり、相当の能力がない限りこのデータを覆すのは難しそうだ。

以前に函館か札幌でレースをした経験がある馬

 全30頭中、前走までに函館または札幌競馬場でレースを経験している馬は、大半の23頭。

 前述した北海道に滞在しての連戦もこの数字に影響しているだろうが、それに加え、函館と札幌に共通した平坦な小回りコース、力のいる洋芝、右回りの適性が好成績を挙げるうえで重要な要素になっていると言えそうだ。

 ちなみに過去10年で洋芝、右回りの両方とも未経験で馬券圏内に入った馬は30頭中わずか3頭しかおらず、データ上はかなり厳しい結果が出ている。

4コーナーの位置取りが勝負を分ける

 過去10年間に馬券圏内に入った30頭の内、4コーナーで5番手以内にいた馬が23頭おり、全体の75%以上を占めている。その最大の要因として考えられるのは札幌競馬場における「スタートから最初のコーナーまで185mと短いこと」と「コーナーを4つ回る小回り」というコース形態だ。

 上記のことからペースが落ち着きやすく先行有利な展開になりやすいうえ、最後の直線もおよそ266mと(中央では函館の次に)短く、過去10年4コーナー6番手以下から勝った馬は、2014年のブライトエンブレムただ1頭と、4コーナーまでに良いポジションがとれていないとかなり厳しい事が挙げられる。

 また、過去10年間で4コーナー6番手以下から馬券圏内に入った馬7頭を見てみると、

・アヴェンチュラ(2011年・秋華賞制覇)
・クロコスミア(2017、2018年・エリザベス女王杯2着)
・ゴールドシップ(GI・6勝)
・ブライトエンブレム(2015年皐月賞でドゥラメンテ、リアルスティール、キタサンブラックに続く4着) 

 と、かなりの大物揃い。もしデータを覆す馬が出た場合は、その後の活躍にかなり期待が持てそうだ。

 そして、ここまでのデータを今年の出走予定馬に当てはめてみると…
(出走予定馬は下記参照)

【札幌2歳S出走予定馬(8月23日現在)】
・アールクインダム
・エイリアス
・カップッチョ
・コスモインペリウム
・ゴルコンダ
・コンドゥクシオン
・サトノゴールド
・ダーリントンホール
・ディアセオリー
・ブラックホール
・レザネフォール

 このうち、データ上優勢な前走からの間隔が中1週〜中5週に該当するのは下記の8頭。

・アールクインダム(中3週)
・カップッチョ(中3週)
・コスモインペリウム(中1週)
・ゴルコンダ(中4週)
・ダーリントンホール(中5週)
・エイリアス(中4週)
・ブラックホール(中5週)
・レザネフォール(中4週)

 該当しなかった馬のなかでもサトノゴールド、ディアセオリーはともに中6週とそれほど大きく間隔を空けているわけではないので、大きなマイナス材料にはならないはずだ。

 次に以前に函館か札幌でレースを経験している馬に該当するのはこちらの8頭。

・アールクインダム
・エイリアス
・コスモインペリウム
・ゴルコンダ
・サトノゴールド
・ダーリントンホール
・ブラックホール
・レザネフォール

 該当しなかったのはカップッチョ、コンドゥクシオン、ディアセオリーの3頭。

 2頭とも右回りの経験はあるもののカップッチョはデビューから3戦目にしてやっとの勝ち上がり、ディアセオリー、コンドゥクシオンは2つの条件に該当していないことから苦戦が予想される。

 そして3つ目が前走、4コーナーでの位置取りが5番手以内ということ。

 ところが、今回の出走予定馬では全馬が該当してしまったので、それぞれ何番手につけていたのかを記載しておく。

・アールクインダム 1番手
・エイリアス 5番手
・カップッチョ 2番手
・コスモインペリウム 3番手
・コンドゥクシオン 2番手
・ゴルコンダ 1番手
・サトノゴールド 2番手
・ダーリントンホール 2番手
・ディアセオリー 1番手
・ブラックホール 2番手
・レザネフォール 2番手
 
 そしてこれら3つの条件をすべて満たしている馬は下記の通り7頭を数える。

・アールクインダム
・エイリアス
・コスモインペリウム
・ゴルコンダ
・ダーリントンホール
・ブラックホール
・レザネフォール

 そしてこのなかから特に注目の馬を1頭を挙げておきたい。

 まずは、6月東京のデビュー戦で3着に敗れたものの、7月に今回と同じ札幌・芝1800mで未勝利勝ちを収めたゴルコンダ(牡、父ヴィクトワールピサ)だ。

馬ラエティBOX

▲前走、大差勝ちの逃げ切りを見せたゴルコンダ(撮影:高橋正和)

 その未勝利勝ちは圧巻の一言。スタート1番枠から飛び出ると先頭に立ち前半1000mを59.6秒で通過、先頭のまま4コーナーを通過するとそのまま他馬をグングン突き放し2着に大差勝ち。2着との着差1.8秒、上がり3ハロンもメンバー中最速で2位とは1.7秒差、おまけに札幌1800mの2歳レコードまで叩き出した。

 並みの相手では手が付けられないような勝ちっぷりで、同条件で行われる今回、前走と同じだけ走れば結果はついて来るだろう。

 果たしてデータ通りの結果が出るのか、それともそれを覆す大物が現れるのか。

 まだデータの少ない新種牡馬の産駒が歴史に名を刻むのか。いずれにしても面白いレースが観られそうだ。

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