2019年10月19日(土) 12:00
どの馬も未知の距離、慎重になるのが当り前。3000米を3等分すると、最初の1000米をどう走るか。速からず遅からずの探りを入れながらのペースで60秒前後が普通で、次の1000米は遅くなってスタミナに配慮するので速くて61秒台、だいたいが64秒台になっている。そして、最後の1000米は当然ながら一番速い。大半が、出来るだけ長くいい脚をとここまで鍛えられてきたからだ。
菊花賞を乗り切るには、こうした基本的なパターンを十二分に承知し、ここまで来るまでにそれなりの鍛錬を積んでいる。まず、スタミナに不安がないことが前提にあり、これにどう戦うのがいいのかの見通しを立てて登場している筈だ。
「大胆は慎重の上に建つ」で、これをしっかり見せてくれるのが菊花賞だ。従って、少し足りないところがあれば、それを補う戦い方をしてくる。ベテラン騎手は、「長い距離だといろいろ工夫できるからやり甲斐がある」と言っていた。この結果、これまでにいくつかの勝利のパターンが見えていた。
一番印象に残ったのが、後方から一気にまくり切る勝利で、オルフェーヴル、ゴールドシップがこれにあたる。最終コーナーで先行集団を射程に入れて、直線で差し切っていた。これに近いのが、ディープインパクト産駒のサトノダイヤモンド、フィエールマンが勝ったシーンで、4角5、6番手から上がり3ハロン34秒前後の切れ味で圧勝している。
この他、先行抜け出し型で直線に向くときにはほぼ先頭に立っていたもの、エピファネイアがこれに相当し、終始内ラチ沿いを追走して折り合いをつけ、直線も内から抜け出して後続を封じたトーホウジャッカル、キタサンブラックなどがいた。
全体的なイメージとしては、ステイヤーのエンジンのかかりはゆっくりなので、ラスト800米あたりから馬群の外々を動き始めるというのが菊花賞の勝利の基本と言いたい。
数ある名シーンの中では、やはりディープインパクトが無敗で三冠馬に輝いた平成17年の菊花賞が印象深い。4枠7番、61秒2、63秒4、60秒0という流れの中、7番手で折り合いをつけ、直線2番手から先頭に立ったアドマイヤジャパンを残り50米でとらえ、上がり3ハロン33秒3の瞬発力で抜き去っていた。スローから瞬発力勝負というサンデーサイレンス産駒が得意のパターンで1着から4着までを独占していた。
そのディープインパクト産駒の2頭の勝ちパターンも父馬と似ていたが、今年の出走馬もそうするだろうか。また今年は新たにジャスタウェイの産駒が登場したが、奥手の血統なのでその存在は引き続いて注目したい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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