JBCの中央登録馬発表

2019年10月22日(火) 18:00

今年のJBCは波乱や新星誕生の可能性も

 いよいよ2週間後に迫ったJBCの、JRAの選定馬および補欠馬が発表された。今年の舞台は初めての浦和競馬場ということでは、前哨戦であるRoad to JBCの4戦から本番にはあまりつながらないのではないかと想像していたら、やはりそのとおり。

 まずJBCレディスクラシックの登録馬は以下のとおり(カッコ内は予定騎手)。

 ゴールドクイーン(古川吉洋)
 ファッショニスタ(川田将雅)
 モンペルデュ(未定)
 ヤマニンアンプリメ(武豊)
 レッツゴードンキ(未定)
 (以下補欠、繰り上がり順)
 ラビットラン(M.デムーロ)
 ストロベリームーン(未定)
 オウケンビリーヴ(横山典弘)
 オールポッシブル(未定)
 ヴィルトファン(未定)

 レディスクラシックとスプリントが同じ1400mの舞台ということでは、牝馬でもスプリントのほうに出走する可能性が考えられたが、スプリントには補欠馬も含めて牝馬は1頭もいなかった。

 選定馬で地方のダートグレードを勝っているのは、ゴールドクイーン、ファッショニスタ、ヤマニンアンプリメの3頭。ファッショニスタはレディスプレリュード(大井1800m)ではアンデスクイーンにアタマ差の2着だったが、中央での5勝はすべて1400mゆえ距離短縮は有利な材料。ヤマニンアンプリメは、本番と同じ舞台の前走オーバルスプリントが3着だったが、中団よりうしろからの位置取りで前残りの展開が向かなかった。ゴールドクイーンは、逆周りだが名古屋1400mのかきつばた記念を制しており、前走牡馬相手で57kgを背負ったながつきSの逃げ切りが圧巻だった。

 レッツゴードンキは2016年に川崎1600mのJBCレディスクラシック2着があり、中央も含めると4度目のダート戦。ヤマニンアンプリメと主戦の岩田康誠騎手がかぶっていたが、ヤマニンアンプリメのほうは初騎乗となる武豊騎手予定となっている。

 準オープンを勝って重賞初挑戦となるモンペルデュもファッショニスタと川田将雅騎手がかぶったが、川田騎手はファッショニスタに騎乗予定となっている。

 ラビットラン、オウケンビリーヴは、地方のダートグレード勝ちはあるものの、ともに1年以上勝ち星から遠ざかっており、押し出されて補欠となってしまった。

 地方馬は24日(木)に発表される予定だが、4月に船橋のマリーンCを勝ったラーゴブルーが出走予定のようだ。

 JBCスプリントの登録馬は以下のとおり(カッコ内は予定騎手)。

 コパノキッキング(未定)
 サクセスエナジー(松山弘平)
 ノボバカラ(未定)
 ファンタジスト(未定)
 ミスターメロディ(福永祐一)
 (以下補欠、繰り上がり順)
 モーニン(未定)
 シュウジ(未定)
 アディラート(未定)
 ヒロシゲゴールド(未定)
 テーオーヘリオス(未定)

 JBCスプリントには、例年芝路線から挑戦してくる馬もいて、今回は高松宮記念を制したミスターメロディ、昨年京王杯2歳S勝ちがあり、セントウルS2着だったファンタジストが選定馬となっている。

 サクセスエナジーは、浦和1400mでは昨年さきたま杯を制しており、それを含め地方では1400mのダートグレードで3勝という実績。

 東京盃を逃げ切ったことで出走を決めたコパノキッキングは、騎手未定となっているが引き続き藤田菜七子騎手が騎乗予定。あと地方馬で、オーバルスプリントを好タイムで逃げ切ったノブワイルド、昨年京都のJBCスプリントで3着だったキタサンミカヅキと、それぞれ馬主でも注目を集めることになる。

  JBCクラシックの登録馬は以下のとおり(カッコ内は予定騎手)。

 アンデスクイーン(未定)
 オメガパフューム(M.デムーロ)
 クインズサターン(未定)
 チュウワウィザード(未定)
 ロードゴラッソ(未定)
 (以下補欠、繰り上がり順)
 ダンツゴウユウ(未定)
 ヨシオ(未定)

 ダート1600m以上の中長距離路線では、GI/JpnIが中央・地方を通じて年間で8戦(2・3歳限定戦および牝馬限定戦は除く)行われているため、必然的に実績馬が多く集まることになる。ところが今回はなんと、GI/JpnI勝ち馬がオメガパフューム1頭だけ。しかも重賞勝ちのないクインズサターンがJRA5頭の枠に入り、補欠にも重賞未勝利馬が2頭しかいない。例年のJBCクラシックを思えば、JRA勢はかなり層の薄いメンバーとなりそう。

 東京大賞典と帝王賞を制したオメガパフュームに、帝王賞でその2着だったチュウワウィザードが人気の中心となりそう。ただ2頭とも帝王賞以来の休み明けとなり、目標は先にもあるだろうから、どこまで仕上げてくるかがポイントになりそう。

 ロードゴラッソは前走シリウスSが重賞初勝利。その実績でJRA5頭の枠に入れたのは幸運といえよう。レディスプレリュードを制してJBCレディスクラシックの優先出走権を得たアンデスクイーンだが、「距離適性的に、JBCクラシックが選択肢」と西園調教師がレース後にコメントしていたとおり、クラシックに出走してきた。

 地方馬では、大井のマイルグランプリを逃げ切ったワークアンドラブ、東京記念を制したストライクイーグル、中央時代にマーチSを制し、浦和移籍後は重賞2着が3回というセンチュリオンらが出走予定。JRA勢がこのメンバーであれば十分上位を狙えそうだ。

 前哨戦のRoad to JBCからはあまりつながらないと冒頭で触れたが、日本テレビ盃を勝ったクリソベリルは、小回りの浦和ではJBCには出走しないとのことで、日本テレビ盃組のJRA勢はJBCには出走なし。南部杯組も上位勢は軒並み回避となり、7着だったノボバカラがJBCスプリントの選定馬となっているだけ。あわや3着かという4着に好走した大井のモジアナフレイバーも、9月に話を聞いたときにはJBCには出走しないとのことだった。

 こうした状況だけに、今年のJBCは、波乱の決着や新星誕生という結果も、可能性としてはおおいにありそうだ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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