2019年11月02日(土) 12:00
今週の4つの重賞には、それぞれの分野での活躍が約束されるのか、スタートラインに立ってこの先の将来を見つめるような思いがある。明るい未来が開けるのか、この一戦にかかっていると言っていい。特に2歳馬には、この時期での重賞の結果が、この先の進む道を決めることになるので、各陣営にとりどこを走らせるのか、その運命を決定づけるものと言っても過言ではない。少なくとも、そのきゅう舎を支える存在になることも期待出来るのだから、気持の入れ方はひと通りではないだろう。
京王杯2歳SにもファンタジーSにも、この先にあるのは暮れのGI戦だが、この両レースに栗東の吉田直弘きゅう舎は名を連ねている。牝馬のパドゥヴァルスはムキにならないので冷静に走って最後に切れ味を発揮できるタイプで、キャリア2戦目でそんな走りが出来るかどうか。マイネルグリットは、小倉の2歳チャンピオンで3戦3勝、センスのある馬で勝負根性が武器と言われている。ともにきゅう舎の屋台骨を支える馬になってほしい、その期待は大きいが、これはほかの馬とて同じだ。
また、みやこSは、過去トランセンド、エスポワールシチーが勝ち馬に名を連ねているように、やはりこの先のGIが見えてくるレースだが、今年のフェブラリーSの覇者インティの、春秋ダートGI連勝なるかがひとつの焦点だ。5歳馬でもデビューが遅く、まだ今回は11戦目というのが魅力でもある。
それぞれの結果から、その先が見えてくるかどうか注目したいが、もうひとつ、秋の王道路線、ジャパンC、有馬記念につながることもあるアルゼンチン共和国杯は、ハンデ戦で波乱もあり、伏兵が勝つことがままある。また、ここで重賞を初めて勝ち、その後GI馬になったケースも多く、最近ではシュヴァルグランが翌年のジャパンC、スワーヴリチャードが翌年の春大阪杯を勝っていた。
こうした例の中で、京王杯2歳Sに名を連ねるマイネルグリットの父馬スクリーンヒーローの勝ったアルゼンチン共和国杯は、この重賞の典型的な例と言える。
「運命は志のあるものを導く」で、スクリーンヒーローは3歳春はクラシックに乗れず、秋セントライト記念3着で菊花賞の出走権を得ながら体調整わず、無理をしなければ必ず大成すると信じて休養に入り、4歳夏に復帰して札幌で3勝目、それから2着2回を経て格上挑戦で挑んだのが2008年のこのレースだった。53キロ3番人気で初重賞制覇、そして9番人気でジャパンCをも勝ち、ダービー馬3頭を脇役扱いしたのだった。GI初挑戦で世界制覇と称えられたが、種牡馬になってからはその子ゴールドアクターが、アルゼンチン共和国杯から有馬記念と勝っていた。この夏の上がり馬、重賞初挑戦がこのケースになるが、果たして今年は。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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