地方3歳戦線を振り返る

2019年11月19日(火) 18:00

南関、道営とも3歳牡馬はレベルの高い混戦

 地方競馬の3歳限定重賞は、11月20日(水)の川崎・ロジータ記念で終了(ばんえいは除く)。そのロジータ記念は、この原稿執筆時点でまだ結果は出ていないものの、地方全国交流ながら他地区からの遠征もなく、重賞勝ち馬は4月に水沢・留守杯日高賞を勝ったグローリアスライブのみと、例年に比べてやや低調なメンバー。一方で14日(木)に行われた園田・楠賞は、北海道三冠を制したリンゾウチャネルの出走で注目となった。

 今年の地方競馬の3歳戦線、特に牡馬はレベルの高い混戦だった。

 まず南関東では、羽田盃を制したのがミューチャリー。そして鼻出血の影響で羽田盃を回避していたヒカリオーソが、東京ダービーではミューチャリーを2着にしりぞけて勝った。さらに3歳時はここまで重賞タイトルこそないものの、羽田盃2着、東京ダービー3着のウィンターフェルがいた。この3頭は、JpnIのジャパンダートダービーで、ミューチャリー3着、ウィンターフェル4着、ヒカリオーソ5着と、中央の一線級相手に掲示板を確保。南関東の3強というべき存在だった。

 北海道では前述のとおり、リンゾウチャネルが圧倒的な強さで9年ぶり5頭目の北海道三冠馬となった。さらにその三冠で5着、2着、3着と歯が立たなかったリンノレジェンドが夏以降に力をつけ、大井・黒潮盃、盛岡・ダービーグランプリと、地方全国交流の3歳重賞を連勝。さらに道営記念でも古馬を一蹴して重賞3連勝とした。リンノレジェンドはリンゾウチャネルよりも強くなったか、とも思わせた。

 しかし休養から復帰したリンゾウチャネルは、あらためて能力の高さを見せた。道営記念の1週間後に行われた園田・楠賞に遠征。春に菊水賞を制した地元のジンギが3コーナー過ぎで先頭に立つと、これをとらえにかかったのがリンゾウチャネル。鞍上の五十嵐冬樹騎手は直線でも手綱を抑えたまま。結果、着差は1馬身半だが、まったくの楽勝で単勝元返しの人気にこたえて見せた。

 さて、ちょっと気は早いが、NARグランプリで3歳最優秀牡馬はどの馬になるのだろう。羽田盃を勝ってJpnI(ジャパンダートダービー)で3着というミューチャリーが有力な1頭といえそう。ただ北海道三冠のリンゾウチャネルは最後に地方全国交流(楠賞)のタイトルを加え、今シーズンはここまで7戦全勝。リンノレジェンドは地方全国交流のタイトルが2つあるが、リンゾウチャネルとの直接対決で全敗なのでちょっと分が悪い。あとはこのあと、古馬相手のダートグレードで勝つか好走する3歳馬が出てくれば情勢は大きく変わってくる。

 3歳牝馬にも触れておくと、中央移籍後は結果を残せていないものの、浦和でデビューしたトーセンガーネットは、桜花賞、東京プリンセス賞と圧倒的な強さで南関東の二冠を制し、JpnIIの関東オークスでも3着と、この世代では断然の成績。グランダム・ジャパン3歳シーズンでも、2位以下に圧倒的なポイント差をつけての優勝だった。

 デビューから無敗の11連勝で東海ダービーを制した名古屋のエムエスクイーンもいるが、地方全国交流のタイトルはその後の秋の鞍のみ、古馬との対戦でここまで勝ち星がなく、3歳時は地元名古屋から出ていないのもマイナスポイント。

 地方の3歳世代はここまで中央の芝も含めてグレード重賞の勝ち馬が出ていない。残り1カ月少々の奮起に期待したい。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

関連情報

新着コラム

コラムを探す