【朝日杯FS】レコード連発の特殊馬場。例年どおりならサリオス優勢も、その適性は阪神JFの人気馬に酷似して/岡村信将

2019年12月13日(金) 18:00

例年どおりならサリオス優勢も…(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規

 阪神芝1600mでの施行となってから今年で6年目となる朝日杯フューチュリティS。このレースを牝馬限定のGI・阪神ジュベナイルフィリーズと同コースにした意図が未だに分からないのですが、過去5年の同レースを見るに、阪神ジュベナイルフィリーズ以上にスローからの瞬発力勝負となる傾向。それがハッキリしているだけに、穴馬も含めて馬券的には狙いやすいレースという印象がありました。

 しかし先週の阪神ジュベナイルフィリーズの結果にも現れているように、今の阪神芝は明らかに特殊傾向。過去6週間で8つのレコードが更新され、2歳レコードも含めて14の芝コースで半数のレコードが書き換えられています。

2019年09月08日2勝クラス メモリーコロネット
2019年09月08日重賞(G2)  タワーオブロンドン
2019年09月15日重賞(G2)  ダノンファンタジー
2019年09月28日1勝クラス メロディーレーン
2019年11月30日未勝利   メイショウチタン
2019年11月30日未勝利   ハギノエスペラント
2019年12月01日1勝クラス カリオストロ
2019年12月08日重賞(G1)  レシステンシア

 過去には2004年小倉や2017年函館でこれに近いレコードラッシュを記録した例もあるのですが、今回はローカル・コースのレコードではなく、主場開催・阪神というのがポイント。タイムが速いと言ってもレコードにまではなかなか届かないもの。重賞ばかりではなく、未勝利馬や条件馬が、アグネスタキオンやイスラボニータのレコードを軽々と更新してみせたのは、なかなかの衝撃でしたね。

 レコードの出るような馬場は、前に行った馬が止まらないというのが近年芝コースの定説。阪神ジュベナイルフィリーズの勝ち馬・レシステンシアはそれを体現してみせた形なのですが、その意識が騎手間で浸透すると、今度は前へ前への意識が働き過ぎてオーバーペースにもなり得るというのが競馬の難しいところです。


 例年どおりの朝日杯フューチュリティSなら、ラップギア適性値【瞬2平0消0】のサリオスや【瞬2平0消0】レッドベルジュールのような瞬発力タイプが圧倒的に有利なはずですが、前週・阪神ジュベナイルフィリーズと同様の展開を想定するなら、レシステンシアに近いのは【瞬2平1消1】ビアンフェや【瞬1平1消0】ペールエールといった辺り。

 さらにオーバーペースでの前崩れを狙うなら【瞬1平1消1】タイセイビジョンや【瞬1平1消0】ラウダシオンが狙い目となり、適性重視派は想定次第で180度、270度と大きく見立てを変えなければならないのが今年の朝日杯フューチュリティS。

 ならば前日(土曜)の芝レースを最後まで見極めてからの熟考が必要。かなり厄介なレースだと思いますが、それだけにウマい馬券での最終結論にはぜひ注目していただきたいと考えております。

■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、 『ラップギア』 と 『瞬発指数』 を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。

 1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。 『ラップギア』 は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。

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ウマい予想家

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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