2019年12月14日(土) 12:00
2歳戦は次代を担う戦いでもある。ディープインパクト、キングカメハメハが相次いで世を去った今年、新たに種牡馬たちの頂点をめざすレースが始まっている。この中で、やはり注目したいのが新種牡馬の存在で、2歳戦に新味をそえている。特に重賞、それもG1戦で存在を示すことが出来れば、それに続く産駒たちへの期待にもつながっていく。
先週の阪神ジュベナイルFでは、新種牡馬キズナの産駒マルターズディオサが2着に入り、来春への期待をふくらませた。
このキズナは順調なスタートを切っている。産駒の勝利数が、その父ディープインパクトの初年度の41勝には及ばないものの、先週現在で29勝とサンデーサイレンスの30勝に迫る勢いだ。初年度産駒が数多く勝ったのはこの他に、ロードカナロア、ダイワメジャー、アグネスタキオン、キングカメハメハなどが続いている。
生産界の事情の変化などもあるので、この30年に限っての話ではあるが、2才のチャンピオン戦には上記の種牡馬の殆どが産駒を出走させているし、今年の2歳牝馬チャンピオンのレシステンシアはダイワメジャーの産駒だった。
人間の世界では、優れた人、大人物になるような人は、幼少の頃からその萌芽が感じられるものと言って、「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し」ということわざがあるが、これらの2歳馬が受け継いだ素養をどう深めていけるか、今後の見所でもある。
朝日杯フューチュリティSが、今の阪神で行なわれるようになったこの5年の1、2着馬を見ると、ディープインパクトの産駒が3勝、キングカメハメハが1勝2着1回、ダイワメジャーが1勝、あとはマツリダゴッホ、キンシャサノキセキ、ロードカナロア、スクリーンヒーローの産駒が2着を1回ずつ占めている。
この中で人気薄だったのは、マツリダゴッホ、キンシャサノキセキ、スクリーンヒーロー産駒の3頭で、種牡馬からみた朝日杯フューチュリティSの傾向が見えてくる。
今年の顔ぶれから考えると、晩成型ハーツクライ産駒のサリオスが別格の存在としてレース史上に名を残せるかが第一のポイントになる。
ディープインパクトのレッドベルジュール、ダイワメジャーのペールエールはこれまでの流れに乗っている存在だが、あとは混とんとした情況だ。新種牡馬キズナの産駒ビアンフェとエグレムニ、リアルインパクト産駒のラウダシオンは新風を吹き込めるかがカギ。あとはウイングレイテストなどのスクリーンヒーロー産駒、それに別路線組のタイセイビジョンがどこまで喰い込めるかといったところ。
因みに、栴檀(せんだん)とは香木の白檀(びゃくだん)のこと。芳香をただよわせる若駒を見つけ出したい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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