2020年01月24日(金) 18:00
東京競馬場で勝ち鞍を持っているニシノデイジー(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規
1960年の創設から、今年で61回目の施行となるアメリカジョッキークラブカップ。ラップ的にかなりクセのあるレースで、毎年前半は3勝クラスと同じようなペースで推移し、しかも上がりも速くない。要は前に行った馬が有利ということなのですが、それだとレース全体のレベルとしても3勝クラスと同等ということになってしまいます。
いや、むしろ3勝クラスより2勝クラスに近いレベルではないかとさえ考えられ、ともかく別定GIIとしては他に類を見ない不思議レース。時期的なものでしょうか。数年に1度、現役最強クラスの超大物も参戦しているレースであるだけに、それら大物の半数以上が敗れている事実も含め、過去にはこれが不思議でなりませんでした。
しかしそれは中山競馬場への適性を第一義と考えていたからこその難しさであったのかも知れません。実はこのAJCCは、中山重賞としては1、2を争う瞬発戦。中山適性よりも東京適性を重視すべきレースだったのです。
データの残っている1988年以降、AJCCの出走馬、延べ361頭を“該当レース前に東京競馬場で勝ち鞍を持っていた馬”と“東京勝ち鞍を持っていなかった馬”に分類してみましょう。
勝ち鞍あり 240戦【25-22-20-173】勝率10% 勝ち鞍なし 121戦【 5- 8-10- 98】勝率 4% ※東京施行の1996年、2002年AJCC出走馬は除く
“東京競馬場で勝ち鞍を持っていた馬”が好成績を残していることは一目瞭然ですね。ちなみに今年のAJCCは東京競馬場での勝ち鞍を持っていない出走予定馬が多く、
クロスケ グローブシアター サトノクロニクル スティッフェリオ ステイフーリッシュ ミッキースワロー
の6頭が該当。上位人気になりそうな馬も複数入っていますが、これらの馬は、いくら中山巧者であろうともAJCCでは割り引きたいと考えています。距離や競馬場の得意不得意は、初歩のラップ考察。ここからもうひと要素を取り入れるだけで、AJCCの絞り込みは驚くほど容易なものになってきます。この続きはウマい馬券での最終結論にて、ぜひご注目ください。
■プロフィール 岡村信将(おかむらのぶゆき) 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、 『ラップギア』 と 『瞬発指数』 を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。 『ラップギア』 は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。
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