チェルトナムフェスティバルのメイン競走展望(後編)

2020年02月26日(水) 12:00

最も固い本命がいるのはステイヤーズハードル

 先週に引き続き、欧州障害シーズンのハイライトとなる、チェルトナムフェスティバルの展望をお届けしたい。

 3日目(12日・木曜日)のメイン競走として行われるのが、ハードル3マイル路線の総決算となるG1ステイヤーズハードル(芝23F213y)で、各曜日のメインの中でも最も固い本命がいるのがこのレースだ。ブックメーカー各社が2倍を切るオッズを掲げているのは、女性調教師エマ・ラベルが手掛けるペイズリーパーク(セン8、父オスカー)である。

 ナショナルハントフラットを1戦した後、17/18年シーズンにハードルデビューした同馬。初年度は4戦1勝と凡庸な成績に終わったが、2シーズン目の18/19年シーズンに入ると、馬が一変した。初戦となったエイントリーのハンデ戦(芝20F)で勝利を収めると、続くヘイドックのG3ステイヤーズハンディキャップハードル(芝24F58y)で重賞初制覇。

 更に次走はアスコットのG1ロングウォークハードル(芝24F97y)に駒を進め、ここも勝ってG1初制覇を達成。チェルトナムのG2クリーヴハードル(芝23F213y)を12馬身差で圧勝してチェルトナムへの適性も示すと、昨年のG1ステイヤーズハードルを制し、一気に路線の頂点に昇り詰めた。

 今季初戦となったニューバリーのG2ロングディスタンスハードル(芝24F52y)も白星で通過した後、予定をしていた暮れのG1ロングウォークハードルは道悪のため回避したが、1月25日のG2クリーヴハードルを危なげなく制覇。昨季から継続している連勝を7に伸ばして、連覇がかかるG1ステイヤーズハードルに向かうことになった。

 18年のG1メアズハードル(芝19F200y)を含むG1・4勝馬で、今季初戦となったゴウランパークのG2ギャルモイハードル(芝24F)を21馬身差で圧勝したベニーデデュ(牝9、父グレートプリテンダー)が、オッズ3〜9倍で2番手評価だが、同馬は初日のG1メアズハードル(芝19F200y)に廻る公算大と見られている。

 チェルトナムのG2レルキールハードル(芝20F56y)を制した後、G2クリーヴハードルがペイズリーパークの2着だったサマーヴィルボーイ(セン8、父サンドメイズン)が、オッズ9〜11倍の3番手評価となっている。

 そして、チェルトナムフェスティバル最終日(13日・金曜日)のメイン競走に組まれているのが、スティープルチェイス3マイル路線の最高峰となるG1ゴールドC(芝26F70y)で、ここはひと桁台のオッズに6頭前後が並ぶ大混戦となっている。4.5倍前後のオッズで1番人気を分け合う形となっているのが、アルブームフォト(セン8、父バックスブーム)とサンティニ(セン8、父ミラン)の2頭だ。

 昨年のこのレースをオッズ13倍の5番人気で制したのが、ウィリー・マリンズ厩舎のアルブームフォトだ。ハードルからスティープルチェイスに転身したのが17/18年で、このシーズンの終盤にフェアリーハウスのG1ゴールドCノーヴィスチェイス(芝20F)を制しG1初制覇。2季目の18/19年は、元旦にトラモアで行われたLRサヴィルズチェイス(芝21F100y)で始動。ここを6馬身差で制して臨んだG1ゴールドCを制し、路線の頂点に立った。トラモアのサヴィルズチェイスは、今季からG3に昇格。名称もG3サヴィルズニューイヤーズデイチェイスに改まった同競走を、アルブームフォトは今年も6馬身差で制し、本番への出走態勢を整えている。

 一方、昨年のチェルトナムフェスティバルではG1RSAインシュランスノーヴィスチェイス(芝24F80y)に出走し、2着に惜敗したのが、ニッキー・ヘンダーソン厩舎のサンティニだ。今季初戦となったサンダウンのLRインターメディエイトチェイス(芝24F37y)で勝利した後、喉の不調が顕在化して手術を受けている。1月25日にチェルトナムで行われたG2コッツウォルドチェイス(芝25F56y)で2か月半ぶりに戦線に復帰し、ここを3.1/2馬身差で制してゴールドCに向かう。

 5.5〜7倍のオッズで3番手評価なのが、ゴードン・エリオットが管理するデルタワーク(セン7、父ネットワーク)だ。昨季のG1RSAインシュランスノーヴィスチェイス3着馬で、その後、パンチェスタウンのG1チャンピオンノーヴィスチェイス(芝24F120y)を12馬身差で快勝。今季初戦となったダウンロイヤルのG1チャンピオンチェイス(芝24F)は4着に敗れたが、その後、レパーズタウンのG1サヴィルズチェイス(芝24F)、同じくレパーズタウンのG1愛ゴールドC(芝24F)を連勝している。

 以下、ヘイドックのG1ランカシャーチェイス(芝25F125y)勝ち馬ロストイントランズレーション(セン8、父フレメンスファース)、ケンプトンのG1キングジョージ6世チェイス(芝24F)を2連覇しているクランデゾーボウ(セン8、父カプガルデ)、この路線のG1・3勝馬で、前走G1愛ゴールドC2着のケムボーイ(セン8、父ヴォワドゥノール)らが、オッズ7〜10倍の間にひしめいている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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