【チューリップ賞】桜花賞を占う一戦に阪神JF上位組集結

2020年03月06日(金) 18:00

あの馬の快走の裏にアルゼンチン牝系あり

 2018年のアーモンドアイは「1月のシンザン記念1着→桜花賞1着」だった。2019年のグランアレグリアは「12月の朝日杯FS3着→桜花賞1着」など、牝馬クラシックに挑戦するステップが変化している。仕上げの手法も変わってきた。

 だが、今年は阪神JFを制したレシステンシア(父ダイワメジャー)、2着マルターズディオサ(父キズナ)、3着クラヴァシュドール(父ハーツクライ)が、みんなチューリップ賞をステップに桜花賞に挑戦する。過去10年の桜花賞で3着以内に快走した30頭のうち、60%の「18頭」が直前に出走していたのがこのトライアルであり、今年はチューリップ賞組がパターン通りの王道になりそうだ。

 レシステンシアの阪神JFは、2006年ウオッカの基準タイムを0秒4上回る1分32秒7の快レコードだった。速ければいいというものではなく、馬場差もある。だが、3戦目の2歳牝馬の飛ばしたペースは驚異的だった。「前半33秒7→45秒5→57秒5」の猛ペースは改修後の阪神競馬場で行われた阪神JF史上、断然トップ。それで上がり「35秒2」。鈍らずにまとめて1分32秒7。好位追走から2着したマルターズディオサが35秒9。中団から伸びた3着クラヴァシュドールが35秒5なので、5馬身差独走は納得するしかない。

 日曜の弥生賞ディープインパクト記念のサトノフラッグもそうだが、レシステンシアの牝系は南米アルゼンチン育ち。同国のサラ生産頭数は日本より多く世界4位。近年では、2016年の日本ダービーを制したマカヒキ、鼻差2着サトノダイヤモンドがそろってアルゼンチンで発展した牝系出身だった。

 レシステンシアの母マラコスタムブラダには、アルゼンチンの送った歴史的名馬Forliフォルリ(1963年生まれ。10戦9勝)の血がクロスしている。フォルリは世界の大種牡馬Sadler's Wellsサドラーズウェルズの祖母の父であり、日本では1998年の菊花賞をレコードで逃げ切ったセイウンスカイの3代前の父になる。

 マラコスタムブラダは2200mの亜GI勝ち馬。この牝系には豊かなスタミナもある。

 だから、阪神JFの逃走劇が実現したのだ、ともいえる。ダイワメジャー産駒は父と異なりみんなマイラータイプだが、迫力のレシステンシアは少なくとも2000m級までなら距離不安はないと思える。桜花賞にリーチがかかる。

 阪神JF2着マルターズディオサと、3着クラヴァシュドールは0秒0の鼻差。中間の気配から、今回はクラヴァシュドールの方に魅力がある。阪神JFではちょっと行き過ぎてしまったウーマンズハートの巻き返しと、戦法を変え追い切り絶好のシャンドフルールは相手に加えたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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