【黒船賞】デュープロセスのダートグレード競走連勝か、サクセスエナジーの連覇か

2020年03月09日(月) 18:00

実力拮抗の一戦を制するのは!?

 3月10日(火)に行われる『第22回黒船賞』は高知競馬場で唯一のダートグレード競走。連覇のかかるサクセスエナジーをはじめ、今年も有力なJRA勢が出走。実力拮抗の1400m戦で、一瞬たりとも見逃せない戦いになりそうです。

 デュープロセスは前走・兵庫ゴールドトロフィーでダートグレード競走初制覇。初ブリンカーの効果もあって先行争いからハナに立ちそのまま逃げ切り、1番人気に応えました。ハンデ重賞で56kgを背負い、ノボバカラ、テーオーエナジーら有力古馬を一蹴。2着に兵庫のイルティモーネ(8番人気・52kg)、3着に高知のサクラレグナム(9番人気・53kg)が入り、レースは波乱の結果となりましたが、初めての地方競馬参戦で小回りコースをこなしたのは高評価。今年のさらなる成長が期待される4歳馬がダートグレード競走連勝を狙います。

前走の勢いのままダートグレード連勝を狙うデュープロセス(写真は19年兵庫GT優勝時、撮影:稲葉訓也)

 連覇のかかるサクセスエナジー。2018年かきつばた記念、さきたま杯も制しているダートグレード競走3勝馬。昨年は好位追走から早目先頭に立ってゴール。負担重量58kgを克服しての勝利で(2着ヤマニンアンプリメは54kg)、3着以下を大きく引き離しました。昨年は年明け2戦してからのローテーションでしたが、今年はJBCスプリント(11着)以来。4か月の休み明けでの仕上がりがカギとなります。

黒船賞連覇のかかるサクセスエナジー(写真は19年黒船賞優勝時、撮影:武田明彦)

 テーオージーニアスは2018年北海道スプリントCを制したテーオーヘリオスの半弟。兄同様ダート短距離でコツコツと勝ち星を重ね、昨年4歳の秋にオープン入り。12月のカペラSでは後方から直線で追い込みコパノキッキングの0.4秒差2着と、見どころたっぷりの戦いぶりでした。兄は昨年6着でしたが、初めての地方競馬参戦でどこまで力を発揮できるか試金石となりそう。

初の地方競馬参戦で試金石の一戦となるテーオージーニアス(写真は19年4歳以上1000万下優勝時、撮影:下野雄規)

 JRAのもう1頭の4歳馬ラプタス。昨年4月にダートに転向後すべて1400m戦で4連勝。オープン入りした初戦、前走・バレンタインSは逃げたものの同型馬に競りかけられ直線半ばで脚が上がって8着。今回はデュープロセスとの先行争いがどうなるかがポイント。初めてのダートグレード競走、地方競馬初参戦で、気分良く自分の競馬ができれば上位争いに加わる可能性も。

前走こそ8着に敗れたものの、ダートでは5戦4勝の4歳馬ラプタス(写真は19年3歳未勝利優勝時、(c)netkeiba.com)

 ワンダーリーデルは昨年の武蔵野Sを9番人気で制覇し、重賞ウイナーの仲間入りを果たした7歳馬。前走・フェブラリーSは4着。いずれのレースも後方からの直線勝負。初めての地方競馬参戦で、末脚を活かすことができるか横山典弘騎手の手腕に注目。

フェブラリーSでは追い込む競馬で4着と好走したワンダーリーデル(写真は19年武蔵野S優勝時、撮影:下野雄規)

 対する地方勢は地元高知の重賞ウイナーたちが揃って、第1回(1998年)を勝利したリバーセキトバに続く地元馬の活躍を狙います。

 ウォーターマーズは昨年夏にJRAから移籍後、高知で13戦して6勝【6-4-3-0】と、すべて馬券圏内。前走重賞・だるま夕日賞を制覇した勢いで打倒JRAに挑みます。

高知へ移籍後は、全て馬券圏内と安定したレースを見せるウォーターマーズ(写真は19年黒潮マイルCS優勝時、提供:高知県競馬組合)

 そのウォーターマーズと常に勝ち負けを演じているスペルマロン。こちらもJRAから移籍後、高知で8戦5勝【5-3-0-0】と連対率100%。重賞・高知県知事賞(ダート2400m)、黒潮スプリンターズC(ダート1300m)を勝っていますが、距離は長めの方がいいかも。

高知へ移籍後は連対率100%を誇るスペルマロン(写真は20年黒潮スプリンターズカップ優勝時、提供:高知県競馬組合)

 同じく高知のサクラレグナムは3走前の兵庫ゴールドトロフィーで3着に好走。11歳となった今年も前記のウォーターマーズ、スペルマロンと互角以上に戦っています。

近走再び好走を見せる11歳馬サクラレグナム(写真は20年大高坂賞優勝時、提供:高知県競馬組合)

 兵庫からは兵庫ゴールドトロフィーで2着のイルティモーネ、さらに一昨年エイシンヴァラーでこのレースを制した下原理騎手&新子雅司調教師のコンビが送り出すオオオヤブンも参戦。

兵庫ゴールドトロフィー2着馬イルティモーネが兵庫より参戦(写真は19年兵庫GT出走時、ユーザー提供:milfordさん)

一昨年の黒船賞を制した下原理騎手&新子雅司調教師で臨むオオオヤブン(写真は19年JRA交流円山川特別優勝時、ユーザー提供:えんさん)

【今回のイチオシ馬】

・デュープロセス

ユニコーンSでワイドファラオのアタマ差2着もある4歳世代の上位馬。レース当日10日の高知の天気予報は「雨」というのも、先行したいこの馬に好材料。兵庫ゴールドトロフィーの再現なるか?

【気になる馬】
・サクラレグナム
1月の重賞・大高坂賞(ダート1400m)ではスペルマロン、ウォーターマーズを破って連覇達成。高知勢の中で1400mならこの馬を推したい。昨年5着以上を狙います。

絶対王者不在のダート短距離戦線。サクセスエナジーがダノンレジェンド(2015年、2016年)以来となる連覇を達成するのか。新星デュープロセスの快進撃が続くのか。地方競馬初参戦組の活躍は?地元高知勢がどこまで上位に食い込めるか。様々な興味が尽きない今年の黒船賞。4月から始まる新年度のダートグレード競走・短距離路線の行方を占う意味でも大注目の一戦です。

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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