気難しい季節のまま競馬の春は高まりを迎えようとしている

2020年03月14日(土) 12:00

今週の四つの重賞からも有力馬たちが出てくる

 庭先につがいのシジュウカラが今年も姿を見せてくれた。確実に春なのだ。なのにうれしさはない。気難しい季節のままの三月。だが、つつましやかに咲きはじめる花、土のにおいにつつまれるときは、必らずやってくるのだから、しっかり前を見つめていきたい。

 こうした情況の中でも、競馬の春は高まりを迎えようと、すべてが静かに動き出している。寒さから解き放たれるように、あちこちで名のりを上げていく有力馬たち。今週の四つの重賞からも、これに加わるものが出てくる。自分でどれだけ見つけられるかだ。

 その中で一番GIのタイトルに近い金鯱賞から手をつけると、昨年デビュー4連勝で皐月賞馬に輝いたサートゥルナーリアがここから始動する。8戦5勝2着1回、連対を外したのが2回で、ダービー4着、秋の天皇賞6着がいずれも左回りの東京だったのを気にする向きもあるが、この2戦はいずれもテンションが高かったのが敗因。有馬記念でいったん先頭に立った姿は、リスグラシューに交わされたといっても、見事だった。左回りの中京と言えども、今ならなんでもない。2017年に大阪杯がGIに昇格してから、前哨戦としての金鯱賞の中味は一段と濃くなっている。一番人気のヤマカツエース、スワーヴリチャードが勝ち、昨年のエアウィンザーは3着。その後のGIでも健闘している。

 今年の主役サートゥルナーリアの復帰戦への期待は、当然大きい。

 これを追う立場にあるものの中から伏兵を見つけるのが、金鯱賞の重要な点だが、主役と同世代からロードマイウェイを。ゲートがうるさかったり、道中かかり気味になったりしていたのが、メンタル面の成長からこれがなくなり、競馬に幅が出てきた。5連勝で重賞を勝った今、どんな競馬になるかワクワクする一頭だ。

 あと一頭伏兵とみているのが、サトノガーネット。前走の大敗は、調整期間が短かかったせいで、今回は十分に負荷はかけられている。いかなるときも33秒台の脚が使えるし、暮の中日新聞杯で大外から差し切ったシーンが頭からはなれない。有馬記念で引退したリスグラシューではないが、晩成型牝馬の後継馬に大成してくれると願っている。

 フィリーズレビューは、阪神1400米で2戦2勝、レコード勝ちのあるカリオストロを。展開に左右されないのが強味だ。もう一頭は、ヤマカツマーメイド。阪神JFでは伸び負けしたが、1400米なら一考したい。そして1勝馬からは、2戦目の前走、スタートで後手を踏んだマテンロウディーバを。

 競馬にも山笑う春がやってきた。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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