毎年恒例のPOG取材がスタート

2020年04月01日(水) 18:00

コロナ禍の不安をよそに順調に進む取材

 このところ日々刻々と変化する新型コロナウイルス関連のニュースばかり見せられており、正直なところ気が滅入るのだが、しかし未だ感染は拡大し続けており、ここ数日は「都市封鎖」などという言葉も散見されるようになってきた。

 もしそうなってしまえば、おそらく競馬開催も困難になるだろうから、ことは極めて重大な局面になってきている。高松宮記念に続いて、このままでは大阪杯も無観客で実施される公算が高く、さらに桜花賞、皐月賞と春のGIが続くわけだが、再びファンが競馬場に入場できるのは果たしていつ頃のことになるだろうか。

 などとあれこれ気になるものの、生産地では今や出産と交配のピークを迎えているし、育成現場では、6月から始まる中央の新馬戦に向け、どんどん2歳馬の移動が加速している。新型コロナウイルスとは無関係に、暦通りのスケジュールで日常が動いている。

 そんな中、3月中旬より、生産地では毎年この時期恒例の「POG取材」がスタートしている。6月初旬から2歳戦が始まるのに合わせ、各媒体とも、POG関連の書籍発行、雑誌へ掲載する特集記事が以前と比較するとかなり早くなっており、今年は3月13日のノーザンファーム(早来)を皮切りに連日取材日程が組まれていた。

 幸い、今年の3月の北海道は比較的晴天に恵まれたことから、これまで順調に取材を消化できている。浦河地区は、BTC周辺に多くの育成牧場が点在しており、3月23日より28日までの一週間、例年通り、在京某紙のN君とともに集中的に巡回し、取材をこなした。

 中でもピークだったのが、3月26日と27日の両日だ。というのは、浦河地区の代表的な大手である吉澤ステーブルとシュウジデイファームの合同取材が行なわれたからである。首都圏から北海道に取材にやってきた人々は、一様に「新型コロナウイルスは大丈夫なのか」と警戒しながらの出張になったという。まだ23日の時点では、北海道の感染者が最も多かったからだが、それが23日から28日の一週間で形勢は大きく変わり、週末には、東京の感染拡大の方がずっと深刻な事態になってきた。取材に同行した在京某紙のN君も「東京に帰るのが怖い」と口にしていた。

 26日(木)は、午前8時より吉澤ステーブルの合同取材から始まった。ざっと6社〜7社は来ていたと思われる。それぞれ、ライターとカメラマンの2人体制で、中にはもう1人多い3人という媒体もあった。

生産地便り

吉澤ステーブルでの取材風景

 吉澤ステーブルは浦河地区きっての大手で、世代200頭もの育成馬を管理する。今年の推奨馬は26頭。厩舎や馬主、血統などを加味して、あまり偏りのないように配慮されている。以前は、立ち写真の撮影の後に、牧場スタッフを囲んで各馬の状態についてインタビューする形式の取材であったが、ここ数年は撮影とコメント取りが同時進行で行われる。そのため、どうしても各社最低2人は必要になる。

 とはいえ、吉澤ステーブルは馴致が行き届いているせいか、各馬の立ち写真撮影もほとんど手こずることなく順調に消化でき、26頭を2時間余で終えた。

 26日午後は、2時よりディアレストクラブイーストの合同取材、そして午後5時よりチェスナットファームのコメント取り、さらに、翌27日は11時よりシュウジデイファーム、午後3時より三嶋牧場、午後5時半にアルファトレーニングベースのコメント取りと、かなりタイトなスケジュールで動いた。

生産地便り

吉澤ステーブルにて取材したシックスイスの2018(父ディープインパクト)

生産地便り

シュウジデイファームにて取材をしたカウントオンミーの2018(父リオンディーズ)

生産地便り

本文では触れていないが、武田ステーブルのキティの2018(父スマートファルコン)には個人的に注目している

 どこにどんな2歳馬がいるのか、についてはいずれ発行されるPOG関連本を見て頂くしかないが、今年も例年通り120〜130頭ほどの撮影をこなした。これらの取材した2歳馬の中から活躍馬が出てくれることを願うばかりだが、それとともに、競馬が(たとえ無観客状態ではあっても)このままスケジュール通りに開催し続けられることを祈らずにはいられない。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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