育成調教技術者養成研修第38期生開講式

2020年04月08日(水) 18:00

コロナの影響で式典のみを簡略化して実施

 昨日(4月7日)、浦河町にあるBTC(公益財団法人・軽種馬育成調教センター)にて今年度の育成調教技術者養成研修第38期生の開講式が行なわれた。

 かねてより今回は、BTCに近い優駿ビレッジ「アエル」で式典と昼食会を催すべく準備が進められていたが、折からの新型コロナウイルス騒動により、やむなく式典のみを簡略化して実施することになった。

 会場はアエル二階の中会議室。38期生20名と、講座を担当する6名の教官、及びBTC関係者数名のみ出席し、外部からの来賓や、本州などから付き添ってきた研修生の保護者にも出席をお断りするという厳戒態勢の下、午前11時半より開講式が始まった。

 距離を置いて配置された椅子に20名が全員マスクをして座る中、まず、研修生が1人ずつ名前を呼ばれると「はい」と返事をして起立する。全員が紹介されたところで再び着席。次に大平俊明BTC理事長より、式辞が披露された。

「新型コロナウイルス感染拡大が深刻化しており、若者の感染者が増えている状況に鑑みて、このような開講式になりました。皆さんにはこれから1年間、ホースマンとしての第一歩を踏み出すための厳しい訓練が待っております。晴れた日だけではなく、雨の日もあれば、1月〜2月には極寒の中の訓練になります。どうか、1年後には全員揃って修了式を迎えられるよう頑張って頂きたい」と38期生20名にエールを送った。

生産地便り

式辞を送る大平俊明BTC理事長

 第38期生は、男子17名、女子3名。つい先日まで21名で開講式を迎える予定であったが、3月末に1名の辞退者が出て20名になったという。年齢層はやや幅広く、最年少は15歳、最年長は24歳だ。

 出身地別では、北海道4名の他は全員本州以南からきており、最も遠いのは熊本県。大阪府4名の他、兵庫県、滋賀県、愛知県2名、静岡県、神奈川県、東京都、千葉県2名、埼玉県2名となっている。20名中14名が、高校を卒業したばかりの18歳である。

 大平理事長からは「これまで37期生まで見てきたが、遅刻者が少なくないというのが気になります。朝の早い生活に変わりますが、つい夜更かしをして翌朝起きられないという例がありました。団体生活になりますし、協調性や他人を思いやる気持ち、人と人とのコミュニケーション能力を育んで頂きたい。また研修生の中には未成年者も多くいて、当然、飲酒や喫煙に関しては禁じられていますが、残念ながら君たちの1年先輩の37期生の中には、そうした規則を破ってしまう例もありました。違反行為はぜひ謹んで頂きたいと思います」とのアドバイスもあった。

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理事長からのアドバイスを受ける研修生

 2名の研修生にお話を伺うことができた。まず茂木涼斗君は千葉県生まれの17歳。2年前に千葉から道立静内農業高校に入学し、1年間通学した後に自主退学。その後、新ひだか町内の民間育成牧場で働きながら、このほど当研修に入学した。

 将来の抱負について茂木君は「一流の育成助手とは騎乗技術が優れているのではなく挨拶や礼儀がなっている、人として信頼される。そんな人こそが一流の名に相応しいのだと思います。技術だけでなく、人として成長し信頼される一流の育成助手を目指します」と配布された開講式資料には記している。

 また寺本彩恵さんは愛知県出身。馬が好きで、中京競馬場の乗馬センターにも通っていた経験がある。将来の抱負には「私は厩務員になりたいです。この研修で馬の事を学び、三年間以上競走馬と関わり、夢に近づき、最終的には厩務員になりたいです」と明確に将来ビジョンを描いている。

 20名の半数以上が、将来的には厩務員志望のようで、それぞれ将来の抱負として、はっきりとその意思を示している。本講座は、あくまで「民間の育成現場で即戦力として就労する騎乗技術者を育てる」ことを目的に設立された制度だが、多くの若者の視線の先には、どうやら(たぶん)中央競馬の厩務員になる自身の姿が映っているらしい。

 ともあれ、16名から最終的に7名にまで激減してしまった第37期生の後に入学してきた彼ら20名の研修風景を定期的に追ってみたいと思う。

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第38期生20名

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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