【アーリントンC】NHKマイルCへの結び付きが一段と強くなったレース

2020年04月17日(金) 18:00

有力馬に乗り替わりが多いことはポイントになる

 施行時期が変わり、2018年から4月中旬になった。この2年、アーリントンC→NHKマイルC(中2週)のローテーションで、連続して3着馬が生まれている。

 アーリントンCが3月に行われていた当時は、2014年にこのマイル重賞を経由したミッキーアイル、タガノブルグがNHKマイルCを1着、2着したのが目立つ程度だったが、日程の変化と、3着までにNHKマイルCの優先出走権が与えられることにより、「アーリントンC→NHKマイルC」の結びつきは一段と強くなるだろう。

 実際、今年はGI朝日杯FSでサリオス(皐月賞の有力馬)の0秒4差2着のタイセイビジョン、同じく0秒6差3着のグランレイ、さらには0秒8差5着のプリンスリターンが出走してきた。

 タワーオブロンドン(1着)、パスクアメリカーナ(2着)、インディチャンプ(4着)、ダノンスマッシュ(5着)、さらにはエアアルマス(10着)…などが含まれた2018年と同じように後に大きく素質開花する短距離タイプがいる可能性が高い。

 ただ、感染症防止のため、騎手の土日の「阪神→中山」の移動が不可となっていることが関係し、有力馬のやむを得ない乗り替わりが多い点は大きなポイント。

 朝日杯FSを2番人気で2着したタイセイビジョン(父タートルボウル)は【2-2-0-0】。ここまでの実績は文句なしにトップ。ただ、休養明けのためか、快調教をみせていた朝日杯FS時と比較すると、ここ1-2週の動きは物足りなかった。あっさり勝たれて不思議はないが、人気ほどの信頼性はない危険がある。

 逆に朝日杯FS組では、3着だったグランレイ(父ルーラーシップ)は、あのあと2戦して勝てないでいるが、新コンビ太宰騎手で追い切った今週の動きが光っていた。順調にきている強みを生かして逆転がありそうに思える。朝日杯FSのこの馬の上がりは34秒9。展開に恵まれたのは確かだが、上がり35秒3のタイセイビジョンを最後の伸び脚では大きく上回っていた。

 牝馬ギルデッドミラー(父オルフェーヴル)は、行きたがるのをなだめて追走した前回、スパッと伸びて結果を出した。かかり気味になるタイプは、雨の渋馬場だと行きたがらないとされる。追い比べで54キロが有利になるだろう。

 大駆けの魅力はダート2戦2勝のデュードヴァン(父デクラレーションオブウォーはDanzig系War Front産駒)は、確かにダートもOKだが、父は芝のGI2勝馬であり、産駒には仏2000ギニー馬Olmedoオルメドを筆頭に欧州、豪で芝のGI馬が複数いる。母の父はTapitタピット。芝もダートもこなす牝系出身で、4代母はダートと芝で【22-12-7-18】のタフな名牝だった。

 ダート2勝はともに渋馬場のスピード決着であり、決して力馬ではない。立て直した中間の動きも鋭さ満点。この伏兵は狙う価値がある。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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