血統データの観点からはかなりイレギュラーな馬

2020年04月27日(月) 18:00

先週の血統ピックアップ

・4/26 フローラS(GII・東京・芝2000m)

 好位4番手を追走したウインマリリンが残り300mで先頭に立ち、ゴール前で外から迫るホウオウピースフルをクビ差抑えました。戦績を4戦3勝としてオークスへ向かいます。

 ウインマーレライ(ラジオNIKKEI賞)の半妹にあたり、マイネヒメル、イペルラーニオ、ウインヴォラーレなど兄弟はコンスタントに走っています。父スクリーンヒーローは現役時代にジャパンCを制し、種牡馬としてもモーリス(年度代表馬)、ゴールドアクター(有馬記念)、ジェネラーレウーノ(セントライト記念)などを出して成功しています。

 意外なことに牝馬の重賞ウィナーはウインマリリンが初めて。一般的にロベルト系は、スピードの持続力やスタミナなど、牡馬に備わりやすい特長を武器とし、そのせいか牝馬よりも牡馬の活躍馬が目立ちます。

 そうした特長が活きやすい中山コースを得意とし、東京コースの連対率は芝コースの平均値を下回ります。ウインマリリンは血統データの観点からはかなりイレギュラーな馬であるといえます。今回は前後半のラップが58秒6-60秒1という前傾ラップ。切れ味勝負ではなく、スクリーンヒーロー産駒の強みであるしぶとさが活きる流れとなったことも良かったのではないかと思います。次走のオークスは400mの距離延長となりますが、血統的には問題なく、今回のようにハイペースで展開すれば上位に台頭するシーンもあるでしょう。

・4/26 読売マイラーズC(GII・京都・芝1600m)
 好位を追走したインディチャンプが楽々と抜け出して単勝1.6倍の断然人気に応えました。他馬よりも2kg重い58kgのハンデが唯一の懸念材料でしたが、まったく問題なく、格の違いを見せつけました。

 本格化した4歳以降、国内のマイル重賞では[4-0-0-1]。心身ともに成長しており、今年は昨年以上のパフォーマンスが期待できそうです。父ステイゴールドはサンデーサイレンスの後継種牡馬のなかでは長い距離に向いたタイプで、オルフェーヴルを筆頭にゴールドシップ、ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、フェノーメノ、レインボーラインなど、スタミナを武器とする産駒が目立ちます。

 それゆえに種牡馬となった際、スピードに欠ける面がネックとなることもあるのですが、インディチャンプはマイルで鋭い脚を使う異端児。豊かなスピードを伝える名繁殖牝馬トキオリアリティー(リアルインパクト、ネオリアリズム、アイルラヴァゲインの母)の孫であることがセールスポイントです。

今週の血統注目馬は?

・5/3 スイートピーS(L・東京・芝1800m)

 東京芝1800mに良績のある種牡馬はフランケル。過去10走して[3-1-1-5]という好成績で、連対率40.0%、複勝率50.0%。外国産馬オーロラフラッシュは昨年秋の東京スポーツ杯2歳Sで牝馬ながら4着に食い込みました。

 前走、中山のニュージーランドトロフィーは1番人気に推されて7着に敗れましたが、過去2勝が東京コースであるように、今回のほうが走りやすいでしょう。キズナも東京芝1800mで良好な成績を挙げています。過去14走して[1-4-3-6]。連対率35.7%、複勝率57.1%。当レースにはクリスティ、スマートリアンと2頭が登録しています。どちらも重賞で入着経験があるので実力は十分足ります。

今週の血統Tips

 デアリングタクトが桜花賞を制覇し、その父エピファネイアが3歳世代限定のJRA種牡馬ランキングで順位を上げました。ハーツクライを抜いて現在第3位。1位ディープインパクト、2位キズナには及びませんが、この成績は立派です。2020年代のトップ層を形成する種牡馬の一頭となるのは間違いないところでしょう。

 芝連対率を比較すると、ディープインパクトは35.4%で別格ですが、キズナは18.4%、エピファネイアは24.2%と、ライバルを上回っています。ただ、1着40回、2着53回と、勝ち切れないところが見られ、決め手の甘さをどう解消するかが今後の課題といえるでしょう。世代別ランキングの上位5頭のなかで、2着が1着よりも多いのはエピファネイアだけです。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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