【オークス】まさに名コンビ! 絶対的な信頼が生んだ歴史的快挙

2020年05月28日(木) 18:00

哲三の眼

秋への期待が高まる完勝ぶりだった(提供:デイリースポーツ)

63年ぶり、史上2頭目となる無敗での牝馬2冠を達成したデアリングタクト。メンバー最速の上がり3F33秒1という異次元の末脚は圧巻の一言でした。「馬に助けてもらった」というコメントもあったように、松山弘平騎手自身は納得のいく騎乗ではなかったかもしれない。けれど、「それでも勝ち切ったことが大きい」と哲三氏。さらに今回のレースは、馬の良さを知っているからこそ出来る騎乗だったと語ります。デビューから手綱を取り続け、信頼し合う“名コンビ”だからこその勝利。新たな歴史が刻まれた今年のオークスを振り返ります。

(構成=赤見千尋)

馬に対してゴリ押しがない! 松山騎手らしい優しい騎乗

 オークスは1番人気だったデアリングタクトが、直線突き抜けて無敗のまま2冠を達成しました。距離延長や長距離輸送など、初めてのことが多かった中で、強い競馬を見せてくれましたね。今回は何よりも、勝ち切ったことがファインプレーだったと思います。

 距離に関しては乗った感触、体感などである程度大丈夫だと感じていたのではないかと思いますが、陣営にとっても松山(弘平)君にとっても、「長距離輸送をクリアして欲しい」という気持ちが強かったのではないかと。TVで見ている限り、テンションは高めだったと思います。馬の精神状態はレースで集中して走れるギリギリの難しいところだったのではないかと感じましたが、そこを上手くレースで活かしたというか、変に突っ張らなかったのが松山君らしいなと思いました。

 桜花賞の時もそうでしたが、「こうしたい」「ああしたい」という自分の形にはめ込むのではなく、「ポジションが下がることになっても大丈夫」という気持ちだったのではないかと。これはもう絶対的な馬への信頼があるからこそですし、松山君の良さだと思います。

 その馬その馬に合わせて、ポジションを取った方がいいという時はしっかり取るし、・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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