【鳴尾記念】再上昇狙う5歳馬の活躍目立つ一戦も、軌道に乗りたい4歳馬に注目したい

2020年06月05日(金) 18:00

あっさり勝って当然の組み合わせだが…

 伝統の重賞だが、時期、距離、負担重量など大きな変遷を重ねてきた。12月だった1987-1996年、2000-2011年は来季に向けた3-4歳馬の出世レースだった。この時期に移ってもその流れは続くが、次週の「エプソムC」と似たトーンになり、期待した春シーズンはもう一歩だったので、メンバーの落ちるここでなんとか……。再上昇を狙う5歳馬の活躍が目立つレースになった印象もある。もちろん、ここで軌道に乗りたい4歳馬(ラヴズオンリーユー、サトノルークス、レッドジェニアル)向きのレースではあるが。

 4戦4勝で昨年のオークスを制したラヴズオンリーユー(父ディープインパクト)は別定なので54キロ。あっさり勝って当然の組み合わせだが、ヴィクトリアマイルで感じたように、半年ぶりの復帰戦をもっともきびしい東京のマイル戦に選ぶ手法は、かつてのカワカミプリンセス(07年)と同じで、反動もあり、すぐに完全復活とならない危険もある。中2週なのでごく控えた追い切りでもあり、当日の気配を入念にチェックする必要がある。

 また、4歳牡馬サトノルークス(父ディープインパクト)は、ここが再出発の7カ月半ぶりの1戦。ゆったり流れる2000mなので、ラヴズオンリーユーのヴィクトリアマイルとは異なる意味の復帰戦だが、少なくともここが全力投球の必勝の1戦などということはありえないので、注目度は高くても過信はできない。注目馬ほど死角をかかえるのは、シーズン末のGIII重賞だから仕方がないだろう。

 伏兵の5歳牡馬レッドガラン(父ロードカナロア)に期待したい。昨年末の阪神1800mの3勝クラスを1分44秒8(ヴィクトリアマイル5着だったダノンファンタジーの持つコースレコードと0秒4差)で勝ってオープン入りし、ここまで【1-0-1-1】。前々走の大阪城S1800mでは、今回対戦するサトノフェイバーを封じている。

 前回の新潟大賞典2000mは「59秒7-58秒9」=1分58秒6の緩い流れに乗り遅れ、0秒8差の6着だが、上位馬の中では上がり2位タイ。伸び負けではなかった。全5勝中の4勝を記録する阪神コースこそベスト。北村友一騎手とは【2-0-0-0】でもある。

 前出の2頭を軽視するわけではないので、当然、強敵とするが、穴馬は4歳アドマイヤジャスタ(父ジャスタウェイ)。スランプを脱して良くなるのはこれからと思える。3歳春はクラシック路線に乗り日本ダービー4番人気。2月のすみれS(阪神2200m)では、サトノルークスの0秒2差2着に食い下がっている。今週の追い切りは目立っていた。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

関連情報

新着コラム

コラムを探す