2020年06月19日(金) 18:02
▲様々な経験をさせてくれた相棒ステイフーリッシュと (提供:中谷雄太)
先月24日に現役を引退した中谷雄太元騎手。最終騎乗目前での引退発表とあって、メディアでは“電撃引退”と報じられましたが、自身の中では長く悩んだ日々が続いていたと言います。
引退を決意するに至った本当の理由は何だったのか、勝負の世界に生きる中でどんな葛藤があったのか――今まで語られなかった胸の内を独占告白。4日間連続のロングインタビューでお届けします。
(取材・文=不破由妃子)
※このインタビューは取材対象者と十分な距離を保ち、換気も行いながら実施しました。
──この機会にどうしてもお聞きしておきたいのが、やはり重賞への思い。タイトルに届かないまま鞭を置いたことについては、どんな思いがありますか?
中谷 そりゃあ勝ちたかったですよ…。でも、周りからそのこと(重賞を勝っていないこと)を言われ過ぎて、あるときから「重賞を勝つことって、そんなにすごいの? 勝ってないって、そんなにダメなの?」って思うようになりました。ちょっと人とは感覚が違うのかもしれませんけど、「重賞を勝たないで辞めても、俺は俺」、そんなふうに思うようになって。
──言われ過ぎて価値観が揺らぐ…。その感情、なんかわかる気がします。
中谷 もちろんね、ひとつでも勝っていたら、また違う世界が見えていたのかもしれないという思いもあります。重賞を勝てば、周りの見方も変わったでしょうしね。
ただ、今回引退を発表したあとに四位さんからお電話をいただいて、「頑張ったな。お前、かっこいいな」って言ってくれたんです。「あの四位さんにそう思ってもらえるような辞め方ができた…」、そう思ったらね、すごくうれしかった。今回、一番うれしかったことかもしれません。
▲中谷「四位さんからの言葉が、今回一番うれしかったことかもしれません」 (C)netkeiba.com
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