話題沸騰の2歳馬 “ピンカメ”ことピンクカメハメハって?!

2020年08月09日(日) 18:03

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新馬戦を快勝したリオンディーズ産駒のピンクカメハメハ(提供:デイリースポーツ)

「キンカメ」ならぬ「ピンカメ」こと、ピンクカメハメハが7月19日、函館で新馬戦を快勝しました。17歳離れた半姉は宝塚記念を制覇したスイープトウショウという良血。ところが、お母さんが25歳、お父さんのリオンディーズは5歳の時の子供で、なんと20歳離れた年の差カップルの仔でもありました。高齢出産について、管理する森秀行調教師はある英ダービー馬との経験から感じることがあるようです。SNSで話題のピンクカメハメハのいまとこれからについて伺いました。

(取材・構成:大恵陽子)

※お忙しい中、電話取材に応じていただき、この場を借りて感謝申し上げます。

※当記事は、2020年8月9日に配信したコラムの再掲です

出会いはデビューの1カ月前!

――名前からも注目を集めるピンクカメハメハですが、森調教師が初めて見たのはいつですか?

森秀行調教師(以下、森師)  6月10日頃に買ったばかりの馬なんです。オーナーサイドから「すぐにデビューできる馬いませんか?」とお話をいただいて探したところ、トレーニングセールに上場予定だったこの馬に出会いました。今年は新型コロナウイルスの影響でトレーニングセールが中止になって売ることができなかったんですよね。

――今年は各セリにコロナの影響が出ていますね。

森師 私も北海道に行くことができない状況だったので、他の人に行ってもらって、ビデオと写真を撮ってきてもらいました。それを見て、購入を決めました。

――母タバサトウショウは2005年、ハーツクライ相手に宝塚記念を制覇したスイープトウショウの母でもありますが、ピンクカメハメハを出産した時は25歳。高齢出産の影響というのはどうでしょうか?

森師 昔、お母さんが22歳の時の仔馬を5000万円くらいでどうか?と、海外で声をかけられたことがありました。お母さんが高齢だったのでやめたんですが、その馬がのちに英ダービーを勝ったニューアプローチでした。その経験があるので、年齢を重ねていても馬さえ丈夫なら問題ないと考えています。ピンクカメハメハは少し小柄でしたが、レントゲンやノドの検査も問題ありませんでした。いまは食べる物にしても、環境にしてもいいですし、タバサトウショウはピンクカメハメハを生む前、3年くらい間が空いていました。それに、この馬が最後の仔で、その後種付けもしていないので、お腹の仔と母乳に栄養が分散されることなく、ピンクカメハメハに集中しているな、と思いました。

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タバサトウショウの最後の仔…購入時のピンクカメハメハ(提供:森秀行調教師)

――ピンクカメハメハはダービー馬で種牡馬としても偉大だったキングカメハメハと馬名が似ていると話題になりました。

森師 馬名は、買ってすぐにオーナーが付けられました。私の印象としては別に、普通かなと。6月21日には函館競馬場に入厩しました。

――調教を進めていっての印象はいかがでしたか?

森師 現地からは順調だと報告を受けていました。ゲート試験もすぐに受かって、追い切りをやっていくたびにちょっとずつ良くなっていきました。

現役時に戦って「強い」と感じたリオンディーズの産駒

――迎えた新馬戦では好スタートからダッシュもよかったですね。

森師 練習の時からゲートは速いとスタッフも言っていました。ジョッキーも上手い人だから、スッと出て行きました。大外やったのも良かったです。

――大外枠がいい理由というのは?

森師 ゲートに入るのが最後だからです。中で待たされていると、出遅れることもありますから、新馬戦の大外っていうのは大きいですね。じわ〜っとゆっくりゲートを出てしまうとしんどいですけど、それなりに出れば問題ありません。

――向正面ではマクッてくる馬がいて、少し闘志を出したようにも見えましたが、そこまでではなかったですね。

森師 引っかかりましたけど、相手も途中でやめましたし、ピンクカメハメハもそんなに気合いのいい馬ではないですから。

――直線ではさらに後続を突き放しデビュー勝ちを決めました。新種牡馬リオンディーズの産駒ですが、リオンディーズの印象は?

森師 朝日杯FSでユウチェンジが一緒に走ったけど、強いなと感じました。新馬戦で2000mを勝つくらいですしね。早くに引退しましたけど、本当はもっと強かったやろうなって気はします。

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森師「早くに引退したけど、本当はもっと強かったやろうな…」(C)netkeiba.com

――3歳秋に浅屈腱炎により引退したこともあって、ピンクカメハメハは5歳の時の子供ということになります。

森師 故障したので、早い引退は仕方ないですよね。朝日杯FSを勝つくらいやから、産駒も2歳戦に強いんじゃないですかね。

――リオンディーズ産駒は8月2日までにJRAで19頭がデビューし、すでに4頭が勝ち上がっています。新種牡馬ではドゥラメンテに次ぐ2位の勝利数で、すでに産駒は早くから活躍していますね。
さて、ピンクカメハメハはデビュー戦を勝ったばかりにはなりますが、今後についてはどう感じていますか?

森師 姉のスイープトウショウはゲートが悪かったので、無理して攻めてレースを使っていくとそういうところを出すかもしれないな、と感じています。

――距離適性はどうでしょうか?

森師 初戦はどの距離を使ってもそんなに差はないですよ。1200mの馬だって、新馬戦で1800mを使えば、そんなに引っかかっていくとかもないですし、押し切る馬も結構います。ピンクカメハメハに関しては、リオンディーズがあまり長い距離で勝っていないので、距離延長をしていくタイプではないかなと思います。

――最後に今後の予定を教えてください。

森師 いま放牧に行っていますが(7月28日取材時点)、使えたら9月5日の札幌2歳ステークスを使うつもりです。その時は応援よろしくお願いします。

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