【関屋記念】思い出されるドナウブルーのデットヒート

2020年08月15日(土) 12:00

8年前のレコードにどこまで迫れるか

 残暑は厳しいが、日の光を精一杯吸い込み少しでもよけいに空に伸びようと咲いていたころのヒマワリ(向日葵)がなつかしい。今その姿を見ると、夏の追憶に誘われていく。日差しを浴びて堂々と咲いていた。

 関屋記念で過ぎ去ったレースシーンに思いをはせると、思い出すのが2012年のデットヒートだ。この年から、サマーマイルシリーズに指定され、レースは、ドナウブルーとエーシンリターンズの牝馬2頭のマッチレースになっていた。ワンターンで直線が659米の左回りコースの新潟のマイル戦の、戦い方の典型がそこにあった。

 1月の京都牝馬Sを勝ち、ヴィクトリアマイル2着の一番人気ドナウブルーが、スタートして2番手を取ると、その直後に5番人気エーシンリターンズが続き、半マイルが47秒0のスローペースに。直線に入って残り400米の時点で先にドナウにムチが。200米で2頭が抜けだすときにはエーシンが若干リード。それでもドナウが食らいついて、ゴール前ではクビ差先着していた。典型的な瞬発力勝負で後半の半マイルが44秒5と速くなり、走破タイムが1分31秒5という圧巻のコースレコードだった。そして、ドナウブルーの3ハロンの上がりが32秒6、実に出走馬8頭が32秒台をマーク、迫力満点の一戦だった。

 ドナウブルーはジェンティルドンナの全姉で、騎乗した内田博幸騎手が「すごい勝負根性で、2回差されて2回差し返した。馬の力で勝たせてもらった」と、その負けん気の強さを絶賛したことが思い出される。

 関屋記念がどんなレースになるのか、この年を追憶することではっきりする。

 昨年ミッキーグローリーが勝ったときの前後半マイルは、46秒5-45秒6。リズム重視でギリギリまで前の馬を壁にして後方に待機したミッキーは、あと200米でステッキを入れスパート、上がり32秒2で差し切り、1分32秒1で9ヶ月ぶりの実戦をものにしていた。ペースはそれほど速くはならず、上がり3ハロンの勝負になることが多い。長い直線で息長く脚を使えるか瞬発力がもとめられる。従って、折り合いを欠くものには不向きなレースになる。加えて、今年は例年より力の要る馬場になっていることと、中京記念が今年は阪神のマイルだったことを考慮して検討することになる。

 合致するのは、新潟巧者で復調したアストラエンブレム、ここを目標に調整してきたグルーヴィット、早目に動けるサトノアーサー、速いタイムに適応できるプリモシーン、荒れた馬場が味方するメイケイダイハード、そして牝馬から54キロのアンドラステ。これらの中でどの馬に展開が味方するかだ。そして、8年前のレコードにどこまで迫れるか。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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