2020年09月21日(月) 18:03
▲母オギノシュタインと仔馬の頃のシンボ(写真提供:長濱智美さん)
神戸新聞杯に挑戦する道営馬シンボ。生まれ故郷は北海道新冠町の東泊津にある長濱忠さんの牧場。牧場苦難の年に生まれたシンボの誕生エピソードとこれまでの地方、中央の活躍を振り返ります。
(取材・文=佐々木祥恵)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
シンボの生まれ故郷は新冠町の東泊津にある長濱忠さんの牧場だ。牧場は、忠さんの父である長濱隆さんがおよそ50年前に創業。忠さんが2代目になる。創業当時は稲作や乳牛を飼育していたが、アングロアラブ種の競走馬生産に徐々に移行。完全にサラブレッド生産になったのは、忠さんの代からで20年ほど前だという。
中央で活躍したのは、隆さんの代では1600万条件で走っていたマッケンリーダー、忠さんの代ではギンゲイなど。地方では忠さんの代に、ノーステイオーが重賞の鎌倉記念に優勝している。 母のオギノシュタインは、ディープインパクトを父に持つ。2010年のブリーズアップセールで荻野亮氏が購入し、南関東、名古屋、JRA経て園田競馬場で走っていたが、2014年に鼻出血を発症して繁殖に上がることなり、長濱忠さんの牧場に預託された。オーナーの希望でベーカバドが配合されて、2017年に生まれたのがシンボだった。
この年長濱さんの牧場は、ERVの感染により流産が続いた。生産牧場が外部からの見学者を断るのには、このERVウイルスが持ち込まれないためだ。また出産シーズンが終わるまで、競馬を引退した馬を受け入れないのもそれが理由なのだが、長濱さんの牧場でもそのあたりの対策は当然しっかりされており、ワクチン接種に徹底した消毒など万全を尽くしていたが、それでも感染馬が出た。そんな中、「この後、生まれてくるのは絶対に男馬だ。そしてこんな年に生まれてくる仔馬は必ず走る。今やるべきことをきちんとやり抜くしかない」と生産の事情を良く知る人からかけられた言葉が、長濱さん一家の支えとなった。
シンボは予定日から11日後の5月14日に安産で無事誕生した。事情を良く知る人の言葉通り、シンボを含めてこの年生まれた3頭はすべて牡馬であった。・・・
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