2020年10月06日(火) 12:00
これは馬券に役に立つ話なのか、それとも単なるエピソードに過ぎないのか分からないが、気付いたことなので書いておく。
毎日王冠は、この時期に行われる他のGIIにはない特徴を持っている。それは何……といってもヒントが少なすぎるので先に正解を書くと、「乗り替わり馬の強さ」だ。
この時期のGIIは夏休みを消化して秋初戦として出走する馬も多い。能力のある馬なら春に乗っていた騎手が引き続き乗ってくれる確率が高く、またその逆の推測も成り立つはずである。そうでなくても一般的に、重賞における継続騎乗馬は乗り替わり馬より勝率・複勝率が高いのが普通だ。乗り替わり馬が穴を出して回収率で上回ることはあるが、勝率・複勝率については継続騎乗>乗り替わりが普通である。
では、9〜10月に行われるGII戦で比較するとどうなるか。時期を揃えるため2010〜19年の10年間で比較しよう。
ご覧のように他のレースは勝率でも複勝率でも継続騎乗組が圧倒している(特に勝率)。しかし毎日王冠は乗り替わり組のほうが複勝率で上回り、勝率でもほぼ差が無い。
この「乗り替わり」には元々乗っていた騎手に戻ったケースも含まれるが、それは他のレースも同じこと。また春に短期免許騎手が乗っていたことの影響も気になるところだが、毎日王冠の場合、乗り替わりのべ123頭中4頭のみなので意外に影響は小さい。
想定を見ると今年の毎日王冠はそもそも乗り替わり組のほうが多く、人気になる馬も乗り替わりのほうが多そう。ただ、上記の趣旨を考えると、前任者が他馬もしくは京都を選んだとか、純粋なテン乗りといったケースも、一般的な同種ケースより強気に買ってよいのではと思う。
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須田鷹雄
1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。
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