2020年10月13日(火) 18:00
前回のコラムでは、かつて伝えられる情報が極めて限られていた地方競馬が、ネットの普及によって居住地域にとらわれず多くの情報が伝えられるようになり、さらにコロナ禍をきっかけにYouTubeなどでの動画配信が盛んなってきたことで、情報伝達の手段がさらに増えた、というようなことを書いた。
『2分でざっくり分かるばんえい競馬』に続いて、#1から順次公開されている『ばんえい競馬初心者講座』だ。
これまでにも、ばんえい競馬初心者に向けたウェブサイトや動画はあったが、この『ばんえい競馬初心者講座』は、全体を通して、サラブレッドの平地競馬はよく知っているけれども、ばんえい競馬はほとんど見たことがない、というファン層に向けたつくりになっている。
つまり、「同じ競馬なのに、ばんえい競馬ではなんでそうなるの?」ということがわかるようになっている。
たとえば、ばんえい競馬を何度か見たことがある人なら、馬の鼻面がゴールに入ったところではなく、ソリの後端がゴールラインを通過してゴールインとなる、ということはご存知かもしれない。そうした基本的なことから、ばんえい競馬はなぜ馬がレース途中で止まるのかということや、ばんえい独特のルールなども解説されている。
普通の競馬をよく知っていても、ばんえい競馬は初めて見たという人からよく言われるのが、「何を見て予想したらいいのかわからない」ということ。競馬新聞のフォーマットは平地のものとほとんど同じだし、もちろん馬券の種類や買い方はまったく同じ。ところが予想のファクターはかなり違う。
これは、サラブレッドの平地の競馬が「究極のスピードを競う」のに対して、ばんえい競馬は「パワー(力)を競う」という大きな違いがある。それを頭に入れてばんえい競馬を見れば、サラブレッドの平地競馬との違いがわかると思う。
当然のことながら、ばんえい競馬でもゴールに入った順番を馬券で当てるわけだが、平地競馬では一般的に格付けが上のレースほどタイムが速くなるが、ばんえい競馬はその逆。上級クラスほどタイムは遅くなる。これは、クラスが上がるに従って負担重量(ソリの重量)が重くなるからだ。
そして予想の際に重要な要素のひとつが馬場状態。乾いているか湿っているかで、ソリの接地面の摩擦が大きく変わるので、それがそのままタイムにも影響する。高重量戦(より重いソリを曳くレース)ともなると、ほとんど同じメンバー、同じ負担重量でも、馬場状態によって勝ちタイムが1分も2分も変わることがある。
ある程度経験のあるサラブレッドの競馬ファンなら、馬券を買ってレースを見ていると、「仕掛けが早ぇよ!」とか、「なんでそんなに飛ばすんだよ」とか、「スローペースなのになんでそこで仕掛けない?」と思うようなことはよくあるだろう。
しかしばんえい競馬を初めて見ると、そうしたレースの流れすらわかりにくい。ばんえい競馬は、馬の体力をギリギリまで使って重い荷物を曳くのだから、仕掛けのタイミングや、騎手同士の駆け引きは、平地の競馬以上に重要な要素となっている。
ばんえい競馬の、なぜ?がよくわかる、『ばんえい競馬初心者講座』。ルールやしくみがより詳しく理解できれば、ばんえい競馬が楽しくなるに違いない。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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