とにかく今年は“歴史的快挙連発の秋”

2020年10月31日(土) 12:00

今週の天皇賞・秋も歴史的なレースになりそう

 一瞬ヒヤリというところはあったものの、コントレイルが3冠を制しました。歴史的な2週間を“無事に”見られてよかったですね。

 レース翌日、朝日、毎日、読売(と産経)がその快挙を一面で取り上げていました。3冠制覇が3大全国紙で一面記事になったというのも父ディープインパクトと同じです。

 3冠と言えば、イギリスの2000ギニー+ダービー+セントレジャー、アメリカのケンタッキーダービー+プリークネスS+ベルモントSが有名です。これまでに、イギリスでは15頭、アメリカでは13頭が3冠を制しています(イギリスの場合、世界大戦の影響で本来とは違う競馬場で開催された年の分も含む)。

 その中で、父仔2代で3冠馬になったのはアメリカのギャラントフォックス(1930年)とオマハ(1935年)の1組だけ。イギリスには例がありません。

 今は2000ギニーとダービーの勝ち馬がセントレジャーに出ること自体、希有なことになっていますから、今後、そういう父仔が現われる可能性はないと言ってもいいでしょう。

 ただし、セントレジャーの競走条件が変われば話は別。でも、あの国で約200年もほとんど同じように行われてきたレースが、3冠を取りやすくするために改革される、なんていうことは考えられません。

 ディープインパクトとコントレイルによる父仔2代無敗3冠制覇は世界の競馬史に残る空前の快挙。こうなったらコントレイルの仔にも無敗で3冠馬を制してもらって、アメリカにも例がない父仔孫3代無敗3冠制覇達成の瞬間を目の当たりにしたいと思いませんか?

 ディープインパクトからコントレイルまでがちょうど15年かかったわけですから、数年先にコントレイルが種牡馬になった後、2035年くらいまでが“勝負”。これからも長く競馬を見続ける楽しみができたわけです。

 さてさて、今週の天皇賞・秋も歴史的なレースになりそうです。ご存知のとおり、アーモンドアイが勝てば史上初のGI8勝という記録がかかっていますからね。

 それともう1つ。年間に12レース組まれている牡牝混合古馬GIレースのうちすでに7レースが行われました。その7戦のうち5戦で牝馬が優勝(高松宮記念=モズスーパーフレア、大阪杯=ラッキーライラック、安田記念+スプリンターズS=グランアレグリア、宝塚記念=クロノジェネシス)。今後の5戦で牝馬がもう1勝すれば、2008年を上回る牝馬6勝の記録が達成されます。

 今回はアーモンドアイだけでなく、宝塚記念を制したクロノジェネシスも出てきます(もう1頭、スカーレットカラーもいます)。牝馬が勝つ可能性は高いですよね?

 とにかく今年は“歴史的快挙連発の秋”。今週もその達成を目の当たりにできるんじゃないでしょうか。そうそう、11月3日にはJBCがありますからね。そちらもお忘れなく!

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

関連情報

新着コラム

コラムを探す