【アルゼンチン共和国杯】秋空に小さな花を咲かせるヨメナを発見した思いがする

2020年11月07日(土) 12:00

父馬の名前から頷かされるものがある

 いい結果を出して次のステップへと、アルゼンチン共和国杯には様々な路線から出走してきている。スタートして直ぐ直線の坂を上るので、それだけスタミナがもとめられ、過去10年の1、2着を見ると、その父馬の名前から頷かされるものがある。

 一番目立つのが3勝2着2回のハーツクライ、これに次いでゼンノロブロイの2勝、あとは、1勝2着1回でステイゴールド、ルーラーシップ、ジャングルポケットの名が続いている。ディープインパクトは、3年前に7番人気の5歳馬ソールインパクトが格上挑戦ながら53キロを生かし2着に渋太く伸びてきた1頭だけ。ハンデを含め、2000米以上の実績を確認しておく必要がある。

 こうした中、2015年にここを勝ってその年の有馬記念馬に出世した4歳馬ゴールドアクターに目が止まった。初勝利してから青葉賞4着、菊花賞3着以外は、走った全てのレースで連対を果たしていて、特に長距離での実績が目立っていた。直前は東京2400米オクトーバーステークス(1600万下)を勝っている上がり馬で、アルゼンチン共和国杯でマークする条件をそなえていた。

 そして、このゴールドアクターの父が、2008年にこの重賞を勝ってジャパンカップの覇者にまでなったスクリーンヒーローということで、そのときのシーンが一気によみがえってきたのだ。

 グラスワンダーの子スクリーンヒーローは菊花賞を前に骨折し、翌年1年ぶりに札幌から復帰し、2600米の特別戦を1勝2着1回、直前のオクトーバーステークスで2着と準オープンの身。53キロの軽量を生かし勝っていた。潜在能力の高さを示し、続くジャパンカップは初めてのGI戦ながら、9番人気の伏兵らしからぬ堂々とした走りで、メイショウサムソン、ウオッカ、ディープスカイの3世代のダービー馬を打ち破っていた。

 スクリーンヒーローも、その子ゴールドアクターも、充実の4歳秋を地で行ったようなものだったが、この2頭の血を引く馬はそれ以後では出走しておらず、今年のミュゼエイリアンが久々にスクリーンヒーローの子で顔を出してきた。目立たずとも、秋空に薄紫の小さな花を咲かせている小菊の一種、ヨメナを発見した思いがする。

 そうした中、今年は、ジャングルポケットの子サンレイポケット、ディープインパクトの子からメイショウテンゲンとサトノルークス、それにオルフェーヴル産駒のオーソリティ、オセアグレイトに気を配ってみたい。

 これから先の話になるが、スクリーンヒーローの子モーリスが新種牡馬としてデビューしており、2歳世代の初年度産駒が中央ですでに20勝してトップタイとなっている。このサイヤーラインがどう発展していくか、どんな活躍馬が生まれるか楽しみだということをつけ加えておきたい。長編小説の筋書きがどう展開するか。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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