2020年11月12日(木) 18:00
大外枠から快勝したオーソリティ&C.ルメール騎手(撮影:下野雄規)
アルゼンチン共和国杯は、3番人気オーソリティが勝利! 骨折からの復帰戦を見事に制しました。手綱を取ったルメール騎手の技術に感嘆する一方、あるレースでの若手騎手の騎乗ぶりに、気になる点があったと哲三氏。陣営の指示や事情に理解を示しつつ、プロとして今後を担う若手たちに期待を込め、元騎手の立場から解説します。
(構成=赤見千尋)
アルゼンチン共和国杯は3番人気だったオーソリティが勝利。今回もクリストフ(・ルメール騎手)はさすがの騎乗でしたね。
クリストフを取り上げる回数がどうしても多くなってしまうのですが、大外の8枠18番に入って、あの競馬をすると想像した方がどれだけいたでしょうか? 力のある馬だけど、18番枠からでは乗り難しい部分があるのではないか、おそらくは、道中少し掛かり気味に行って、脚を溜めてという競馬を想像した方が多かったのではないかと思います。そういう皆さんの予想を覆す乗り方が出来るのが、トップジョッキーに君臨する一つの要因だし、あの乗り方で勝つことが出来るジョッキーはとても少ないと思います。あの枠からなら、ポジションを下げて勝つならまだわかるけれど、あそこからポジションを取って勝った。枠順だけではなく枠に入った馬の並びも良かったとは思いますが、あそこでしっかり馬をキープして勝たせるのはすごいなと。
技術的な細かいことを言っても難しくなるので、何が違うのか、特に若手のこれから成長していくジョッキーとの違いがわかりやすいレースがあったのでご紹介します。
とある短距離ダート戦で、好スタートを切った若手騎手がいました。そのまま進めばハナに行けるのに、左右を確認して下げ、外の馬を行かせて3番手のポジションに付けましたが、砂を被って馬が嫌気を差したのか、直線は伸びず掲示板にも載れないという結果でした。
見ていて、とてももったいないなと。せっかく馬が好スタートを決めているのに、なぜ下げるのか、僕にはちょっと理解出来ないです。もちろん調教師からの指示なのかもしれませんし、3番手に付けたいという気持ちはわかります。馬の後ろに入れて落ち着かせてあげて、終いを伸ばしてあげたいと。でもそれは自分がやりたいことであって、本当にそれが馬にとっての走りやすい状況なのかは疑問です。自分のやりたいことと、馬にとって走りやすい状況のギャップが大きすぎる。・・・
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佐藤哲三
1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。
プロフィール
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