2020年12月03日(木) 18:00
歴史的一戦を制したのはこのコンビ!(撮影:下野雄規)
史上初、3頭の3冠馬の直接対決となった今年のジャパンカップは、これが現役最後のレースとなったアーモンドアイが完勝。芝GI9勝目という大記録を打ち立て、有終の美を飾りました。歴史的名牝とトップジョッキーのルメール騎手のコンビもこれで見納め。世界に感動を与えたアーモンドアイのラストランを振り返ります。
(構成=赤見千尋)
世紀の対戦と言われた今年のジャパンカップは、1番人気に支持されたアーモンドアイが勝利しました。これまで芝GI8勝の王者で、これが引退レースでしたが、ここでもクリストフ(・ルメール騎手)はチャレンジする乗り方を選択したように感じます。
まずファインプレーはスタートで、勢いよく出ていました。末脚のあるアーモンドアイでもスタートをきっちり決めて、他の人馬よりも前に行って抑える、というところも完璧だったと思います。スタートを決めたことがファインプレーなのか、どういうレースを構成しようかと考えている方向性がファインプレーなのか。馬場をしっかり読んでいたということも含めて全部がファインプレーだったのではないでしょうか。
馬場状態や枠の並びなどを考えて、アーモンドアイにとって一番イヤな展開は、外から包まれ過ぎるということだったと思います。そういうイヤな想いをアーモンドアイにさせないために、スタートをきっちり決めて、スピードにまず乗せていった。前に行ける強みを生かして、まずポジションを取って、そこからスピードを落とすというか行きたい馬を行かせるという形で、レースの中心になっているんですよね。
スタートを切ってから最初の1コーナーまでに、息を入れたいなというところで他の馬たちと同じようなタイミングでスピードを落としているけれど、アーモンドアイとクリストフが前にいるんです。そういう形を最初に作ってしまうことがファインプレーで、周りに手出しが出来ないようなスピードの乗せ方でポジショニングを取ってしまう。そこが決定的ですよね。
最初にゴール板を通過する辺りまでに、どういうスピードの乗せ方をすればそのレースで生きてくるのかということが、しっかり分かっているなと感じます。どのジョッキーも勝ちたいという気持ちで乗っているわけですが、今回1コーナーまでにいい形でスピードに乗れたのは、僕の目にはクリストフ、(川田)将雅君、松山(弘平)君の3人でした。
最初の位置取りの効力というのは、直線での差に繋がってくると思っていて。必ず前に行くことが正解だとは思いませんが、末脚もあって能力の高い馬が前に行ってしまったら、・・・
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佐藤哲三
1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。
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