2020年12月04日(金) 18:00
この最長距離重賞GII3600mのレコードは、もう26年も前の1994年、直前の菊花賞を3着していた3歳馬エアダブリン(父トニービン)によって記録された3分41秒6(同じ内回り2周)だが、まだ更新されていない。
ステイヤータイプが少なくなったためだが、「長距離戦こそ、そのレベル差は時計にある」という視点からすると、ちょっと、物足りないところがある。
2017年に史上2位の勝ちタイム3分43秒0で勝っているアルバート(父アドマイヤドン)は、この重賞通算【3-1-0-0】。脚元不安で枠順確定後に出走取り消しとなった2018年も、順当ならおそらく勝ち負けだった。
さすがに5度目の出走になるアルバートを主軸にはできないが、不屈の9歳馬を簡単に軽視はできない。昨年も京都大賞典16着のあと、このGII2着している。こういう典型的なステイヤーは限られるから、7回も挑戦して【1-1-2-3】だったトウカイトリック(父エルコンドルパサー)は、10歳だった2012年に、ついに勝っている。
中心に考えたいのは初挑戦のポンデザール(父ハーツクライ)。ただ1頭の牝馬で、アーモンドアイと同期の5歳馬。鞍上はC.ルメール。
ここまで53回、牝馬は1986年にシーナンレディー(父ジムフレンチ)が勝っただけだが、もともと牝馬の出走は少なく最近10年では6頭だけ。この距離のGIIでも「強い牝馬」が浮き彫りになる可能性はある。
前走の札幌記念2000mは距離不足で4着にとどまったが、芝2600mは【4-0-0-0】。2走前の札幌日経OPは、コースレコードの2分37秒6で、ボスジラ(父ディープインパクト)を4馬身も離して圧勝している。今回、ルメール騎手は3戦連続の騎乗になる。
母方はスピード系に近いが、半兄サトノクラウンは2400mの香港ヴァーズ、宝塚記念2200mを勝っている。その父マルジュは長距離歓迎タイプでもなかったが、こなした距離の幅は広く、母ジョコンダIIは、マルジュの長所を引き出した。ポンデザールの場合は、父ハーツクライが長丁場はむしろ歓迎のスタミナタイプ。スローの3600mなら十分こなせるだろう。好調教のシルヴァンシャー(父ディープインパクト)と、ボスジラ(父ディープインパクト)本線。次いでアルバート。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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