2020年12月05日(土) 12:00
ジャパンC、いかがでしたか?
実は私、3週間ほど前までは現場で実況することになっていました。ところがその後、同日に行われるバドミントンのイベントから実況担当のご指名を受けてしまったため、競馬場に行くことができなくなったのです。
そんな言い方をすると、仕事をくださった方に怒られてしまうかもしれません。でも、“世紀の一戦”をナマ観戦できなかったのは正直言って残念。しかも、それを自分の実況で“記録”できなかったわけですから、悔しい思いは残っています。
ただし今回は、コロナの影響で大幅な入場制限がかけられ、多くのファンのみなさんもナマ観戦できなくなってしまいました。それを考えると、これも致し方なしといったところでもあります。
“代わり”に(?)レースを実況したのは、テレビ東京の板垣龍佑アナウンサー。私はすでに30年以上の長きにわたって同局にお世話になってきたので、局のアナウンサーさんにこういうレースを喋る経験をしてもらっていいかな、とも思っていました。そういう意味では、いい機会になったようです。
一方で、先日閉幕した第91回都市対抗野球大会では、今年も決勝戦の実況を担当させていただきました。これで27年連続29回目の決勝実況。この春、日本ダービーの“連続現場実況記録”がコロナのために30年でストップしたので、こちらが途切れなかったのは実に幸いです。
今年はコロナ対策のため、監督や選手への取材に厳しい制限がかけられました。さらに、都市対抗ならではのブラスバンドを入れた応援は全面禁止。入場者数も限定され、いつもの年とはまるで違う静けさの中で試合が行われました。
そんな中、決勝に駒を進めたNTT東日本の飯塚智広監督にほんの少しだけお話しを伺うチャンスがありました。ちなみに同チームは3年前の大会で優勝しています。
飯塚監督は、「今年は大音量の応援がないので、その分のプレッシャーを感じなくて済んでいる。だから、いつもの年とは試合後の疲れ方が違う」と語ってくれました。
みなさん、私が何を言いたいか、もうおわかりですよね。そう、先週の当コラムに書いたことです。
今年、とくに秋のGIで目立つのが、1番人気馬の勝利。ジャパンCも1〜3着は人気どおりの決着でした。そういう結果が続いているのは、無観客、あるいは極めて少ない観客の中でレースが行われているから。そのため、“半端ない”馬たちのテンションが必要以上に上がることなく、素早くリフレッシュできて“次走”に臨めているからだと思っています。
飯塚監督のお話は、その仮説を実証してくれたようなもの。言い換えれば、大声援や大歓声は勝負の結果に多大な影響を及ぼしている、ということでしょうね。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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