2021年01月30日(土) 12:00
競走馬にも様々なタイプがあって、いくら俊敏さで他を圧していても、休ませると心身とも緩んでしまって一度レースで使わないとその馬らしさが戻らないというものがいる。
2018年に連闘で安田記念をモズアスコットが勝ったときには、本当に驚かされたが、正にモズアスコットはそういう馬だった。4歳で芝のGI馬になってからはしばらく頭打ち状態が続き低迷していたが、年齢を重ねてそれまでのスピード勝負の芝のマイル型からパワー型になったとにらんだ矢作調教師が、根岸Sで初めてダート戦に挑ませてみた。11月のマイルCSから2ヶ月半も間があいていたが、強い調教を課すことでこの馬らしさを取り戻せるよう務めていた。
そして6歳になっていたモズアスコットは、目を見張る末脚で1年8ヶ月ぶりの復活勝利をダートの重賞で遂げていた。そして続くフェブラリーSでも4角8番手の位置から外に出し、一気に豪快な差し脚を披露、史上5頭目の芝とダートのGI勝利を飾り、見事な二刀流ぶりで名を残すことになったのだった。かつての芝のGI馬がダートを走ることは滅多にないだけに、昨年のこのシーンは衝撃的だった。
根岸Sはダートの短距離重賞なので、スピード馬が挑戦することが多い。思い出すのが、2005年のメイショウボーラーだ。快速で芝のGI戦で存在を示していたが、勝つまでに至らず、4歳になって当時1月の中山で行われていたガーネットSで初めてダートに挑戦し、ここから根岸S、フェブラリーSと重賞3連勝でダートの頂点に立っていた。特に不良馬場のフェブラリーSでは快速ぶりを発揮、1分34秒7の圧倒的なスピードで逃げ切っていたのが印象に残っている。
今年の根岸Sには確たる主役は不在で、これからさらなる飛躍を担う一戦と言えそうだが、それだけにどこに焦点を当てるかがポイント。ペースはいつも平均よりやや速くなることが多く、1400米とは言えタフさがもとめられる。勝ち馬は、34秒から35秒台前半の上がりタイムをマークしていた馬などを参考にしたい。 その点からは、まず前走のカペラSで先行有利な流れの中、外から追い込み、クビ差の2着にきていたレッドルゼルを。このところの2戦とも脚をためて鋭く差していたし、かなりパワーアップしている。
ロードカナロア産駒だが、同じ父を持つ6歳馬ステルヴィオにも注目したい。芝のマイルCSの覇者でダートは初出走。昨年のモズアスコットに似ている。
そして、11月に東京のダートで初めて7ハロンに対応でき、その後無理せず根岸Sを目標にしてきたヘリオス、一時の不振から抜け出し左回りとの相性が良さそうなテイエムサウスダンなど、この距離に合いそうなものも加えておく。
先にフェブラリーSを見据えているだけに、そう簡単ではない。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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