【フェブラリーS】ノンコノユメから学ぶダート最強馬決定戦の戦い方

2021年02月20日(土) 12:00

狙ってみたい伏兵が目白押しの一戦

 上半期のダート最強馬決定戦という位置づけのフェブラリーSを取り巻く環境も、少しずつ変わりつつある。

 元々3月にあったドバイワールドCに加え、昨年から中東サウジアラビアにサウジカップが創設され、この世界最高賞金レースをめざし2年連続して国内で最優秀ダート馬に選ばれたクリソベリル、チュウワウィザードが遠征したからだ。2頭とも前年12月のチャンピオンズCを勝っており、以前ならフェブラリーSでもうひとつのタイトルをということになるのだが、そうではなくなりつつあると言っていい。

 そのかわり、ここを目標にするものの意欲は強くなり、その分、狙ってみたい伏兵が目白押しだ。季語を引用すれば「山笑う」ということか。春の気配をいち早く吸収して山々の樹木という樹木がいっせいに芽ぶく様子に似ている。

 この舞台、東京のダート1600米は他にはない形態で、スタート地点が芝生の上、およそ150米先の第2コーナーからダートコースに入る。そして3コーナーまでの直線に坂があり、4コーナーを回って直線501米に高低差2.4米の上りがある。

 ゆったりと走れるコースであり、前に行った馬が簡単に止まらなかったり、後方からの馬には強力な末脚がもとめられる。芝の部分を長く走れる外枠がスピードに乗りやすく、内でもまれる先行馬より有利という場面があったりするので要注意というところか。

 こういうことから東京だからとここに照準を合わせる馬も多く、リピーターが目立つレースでもある。

 2018年の勝ち馬ノンコノユメは、全部で5回もフェブラリーSに出ていた。気性が激しく、レース前に鞍を装着できないほどで、去勢手術をし馬体をつくり直し、3度目の挑戦でこのタイトルを得ていた。この時破ったのは、前年4歳で勝っていたゴールドドリームだった。東京のダート重賞のユニコーンS、武蔵野S、根岸S、そしてフェブラリーSと全てで勝利し、広いコースでゆったり走ったときの末脚が光っていた。ダート馬としては体は大きくなかったが、それでも体重を減らし気味だった4歳暮れよりも、勝った時の6歳時のほうが体重は増えていた。

 迷ったら馬体重の重いもの、増えているものをという言い方は、今でも生きている。あとは、砂をかぶってもひるまない、スピードに乗った我慢くらべに強いという意味で気の強いものがいい。

 今年の出走馬でどれを軸馬にするかだが、東京で実績のあるアルクトスが59キロで根岸S4着ながら手応えを感じていたので、得意のマイルで面白い。

 16戦目で初のマイル戦となる根岸S完勝のレッドルゼルの目下の勢いも強力だ。流れが速くなればチャンスは大。

 東海Sを勝って3連勝のオーヴェルニュは、東京ならマイルでも対応できるとみたい。

 あとは、カフェファラオ、ソリストサンダー、サンライズノヴァとキリがない。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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