2021年02月27日(土) 12:00
出走馬の顔ぶれを見ることで、この時期の競馬が見えてくる。
今週の中山記念は、それがはっきりしている。2009年から12年も続いたGI馬の出走が途絶え、これからと意気込む馬たちの戦いの場となり、それだけ出走頭数が多くなり、何が起こるか分からなくなっている。
早くからこの先のGI大阪杯に、昨年無敗で三冠を達成したコントレイルが出走を表明し、これにさらなるタイトル馬も加わると発表したことから、例年以上に大阪杯は注目されている中、中距離戦線でこの春にこそと満を持していたものたちにとり、この中山記念は、檜舞台への道すじを決める重要なレースになっている。
たっぷり水を吸い込んだ芝生が淡く色づき春の命をみなぎらせる、そう感じさせる中山記念と言っていい。この先にある大きな舞台で立派に花を咲かせることを夢見て、精一杯戦うのだ。
例年みられるリピーターもいないし、ここは、距離1800米に的を絞って探ってみたい。
中山の内回りのこの距離はどう戦ったらいいのか、そのお手本のようなレースとして今でも記憶に残っているのが、今から7年前の中山記念だ。
前年秋の天皇賞馬ジャスタウェイが4ヶ月ぶりに登場し、後方一気に末脚を伸ばすこの馬を、テン乗りの横山典騎手がなんと、内の4番枠から好スタートを決めると3、4番手の内を進み、直線でも最内へ。ラチ沿いを逃げる一番人気のトウケイヘイローとラチの間のわずかなスペースを一気に突き抜けて勝ったのだ。
「中山のセオリー通り前で競馬をしました」と騎手は述べていたが、58キロを背負ってのこの勝利で弾みをつけ、このあと、目標とするドバイデューティフリーも勝ったのだった。馬体が緩く無理をさせずにやってきたのが功を奏したのだったが、ハーツクライ産駒でスタミナの裏付けがあるのも中山の内回り1800米がもとめていることでもあったと言える。
最近の中山記念で特徴的なのは、4歳馬の活躍が目立っていることで、この5年で3勝もして2着3回、3着が2回ある。その多くが、クラシックの前哨戦で勝ちながら、クラシック本番ではあとひと息だったものが多い。昨年のダノンキングリーは、共同通信杯を勝って皐月賞3着、ダービー2着、その典型だった。
今年の4歳は、1800米で3戦2勝、中山はセントライト記念を逃げ切っているバビットと、先行してしぶといパンサラッサがこのコース向きの脚質なので注目したい。
他では、休みをはさんで3連勝で中山金杯を勝っているヒシイグアス。セレクトセールで高値をつけた馬が軌道に乗ってきたと堀調教師が言っているのが心強い。こちらは5歳のハーツクライ産駒、これからの馬だ。そして、着実に復調してきたクラージュゲリエを。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
プロフィール
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