2021年03月28日(日) 18:02
▲キャロット秋田社長(左)が明かす、シーザリオの功績 (提供:キャロットクラブ)
日米オークスを制覇し、母としてエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの3頭のGI馬を出したシーザリオ。奇しくも、管理した角居勝彦調教師が勇退する週にこの世を去ってしまいました。
激戦のゴール前だった桜花賞、早め先頭から押し切り勝ちを決めたアメリカンオークス、そして母になると産駒のほとんどが勝ち上がるという素晴らしい功績――様々な思い出が蘇ります。
シーザリオが生まれた当時、獣医師でありノーザンファームの場長を務めていた秋田博章氏(現・キャロットファーム代表取締役)にとっても「偉大な母でした」というシーザリオ。彼女が日本の競馬界に残したものとは。
(取材・構成=大恵陽子)
※このインタビューは電話取材で行いました
――シーザリオが2月27日、子宮周囲の動脈断裂による出血性ショックのため、残念ながらこの世を去りました。
秋田氏 知った時はもう言葉にならなくて、「えっ…」と。シーザリオが生まれた時や、彼女が歩んできた道、そして一番は脚元に問題があった時のことを思い出しました。また、亡くなった原因から、それだけいい子どもたちをほぼ休みなく産んできたので、無理もあったんだろうな、と思いました。ただ、それはサラブレッドとして生きてきた宿命みたいなものもありますよね。
――お母さんとしてのシーザリオはどんな馬だったのでしょうか?
秋田氏 とにかく一生懸命仕事をするんですよ、この偉大な母さんは。携わったスタッフに改めて聞くと、母性本能が強くて上手に子育てもしていたようです。普段は穏やかで大人しい性格で、スイッチが入ったらすごく怒ると。競馬でもお母さんとしてもそういう性格でした。
▲競走馬を引退後、牧場で過ごすシーザリオ (提供:キャロットクラブ)
▲「とにかく一生懸命」というシーザリオのお母さんっぷり (提供:キャロットクラブ)
――シーザリオが生まれたのは秋田氏がノーザンファームの場長をされている頃でした。どんな印象の仔馬でしたか?
秋田氏 生まれた時は、しっかりとしたトモを持った、バランスの取れたいい馬だなぁと思っていました。脚長で薄手のスペシャルウィークと比べると、しっかりした仔でした。
兄のプロトンも走りそうな馬体をしていたんですけど、期待ほどの結果はあげられなかったので、シーザリオも走りそうな雰囲気はあったものの、どちらかと言うとリーズナブルな価格でキャロットクラブで募集されたんです。
▲キャロットクラブでの募集時のシーザリオ (提供:キャロットクラブ)
――会員さんからの反応などは?
秋田氏 例年、1歳9月に募集を始めるんですけど、年明けまで残口があったし、2歳1月にアクシデント(飛節後端の打撲)で調教を休んだことも影響してか、3月まで売れ残っていました。それでも体幹がしっかりしていたので、調教では坂路での動きがすごく良かったんです。
この時はクリソプレーズ(2013年ジャパンダートダービー馬クリソライト、2016年宝塚記念馬マリアライトの母)も一緒に残っていたんですよ。今では考えられないですけどね(笑)。
――まさか! です。タイムマシーンがあったら、買いに行きたいくらい(笑)。シーザリオは新馬戦を勝つと、牡馬混合の寒竹賞、GIII・フラワーカップと3連勝を遂げました。「GIを勝てる!」と手応えを掴んだのはいつ頃ですか?・・・
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