2021年04月10日(土) 12:00
桜は散ったが、次から次へとさまざまな姿で別の花々が春の命を見せてくれる。それは、自らの生涯を賭けて力走する桜花賞の舞台に立つ若駒たちを見るのに似ている。今年は、白毛の2歳牝馬チャンピオンがこのままスーパーホースへの道を駆け上がっていけるのかに関心が集まる。
大阪杯でニューヒロインが誕生し、牝馬の時代が今年も続くのかと思わせた。そのレイパパレはデビューから6戦全勝、強敵を破ってのGI勝ち、この4歳馬は確かに牝馬攻勢の先陣を切ったと言える。この流れに乗って桜花賞は、これに続く若い牝馬たちの重要なワンステップだ。
ここ3年の牝馬の時代を牽引したアーモンドアイ、昨年最優秀短距離馬に選ばれたグランアレグリア、これを引き継いだ無敗の3冠牝馬デアリングタクトと、この3頭とも、いずれもが桜花賞馬だ。ところがそのステップは異なっている。
アーモンドアイは夏の新潟デビューで2着、2戦目の10月東京で初勝利、年が明け3戦目京都のシンザン記念で牡馬相手に大外から鋭く決めて勝ち、3ヶ月休んで桜花賞に2番人気でのぞみ、GI全9勝のワンステップを踏み出していた。
2年前のグランアレグリアは、デビューは早く6月の東京。この初戦の新馬戦を勝って2戦目が10月の東京のマイルの重賞でここも勝って3戦目が朝日杯FSの3着だった。その後4ヶ月のリフレッシュ期間があって桜花賞だった。
そして昨年、11月の京都の新馬戦を勝ったデアリングタクトは、2戦目が年が明けた2月の京都のエルフィンSで、これを鋭く決めて勝ち2戦2勝で桜花賞を迎えていた。この2頭も2番人気、つまりこの3年、牝馬全盛期を支えてきた3頭は桜花賞では一番人気ではなかったのだ。
興味深い話になるが、この3年の1番人気はいずれも阪神JFの勝ち馬で、3年前から順に、チューリップ賞も勝ったラッキーライラック(桜花賞は2着)、これと同じくダノンファンタジー(4着)、昨年はレコードで阪神JFを勝ち、チューリップ賞は3着だったレシステンシア(2着)だった。
遡ってもこの傾向は続いていて、阪神JFを勝ち桜花賞で一番人気に応えて勝ったのは2010年のアパパネまでいかなければならない。7年前に追い込み届かず阪神JF2着のハープスターが、桜花賞では一番人気で勝ってはいるが、目下6連勝中、果たして今年はどうなるか。
注目の阪神JF勝ち馬ソダシと、これに7センチ差で2着だったサトノレイナス、この2頭を軸に考えてみたいが、どうしてもひねってみたくなる。前哨戦で勝ったアカイトリノムスメ、エリザベスタワー、メイケイエール、シゲルピンクルビーの4頭も候補に加えておく。
「桜散る 白い主役は どう咲かす」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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