2021年04月16日(金) 18:00
ホープフルSを勝利したダノンザキッドは目玉の1頭だが…(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規
2歳12月のホープフルSから3歳1月の京成杯、3月の弥生賞、4月の皐月賞と続く、3歳牡馬の中山芝2000m戦線。いわゆる“皐月賞コース”を勝った馬として、これらのレースの勝ち馬は注目されることになるのですが、これら3レースと皐月賞は、ラップ的にはまったく異なるものとなっています。
まずはこれらのレース勝ち馬の前半1400mタイムと、ラスト600mのタイムを一覧にしてみましょう。ちなみにこれは“レース先頭馬の通過タイム”ではなく“勝ち馬の通過タイム”です。
■ホープフルS 勝ち馬 2014年 86秒3-35秒6 シャイニングレイ 2015年 87秒5-34秒3 ハートレー 2016年 85秒6-35秒7 レイデオロ 2017年 85秒9-35秒5 タイムフライヤー 2018年 86秒3-35秒3 サートゥルナーリア 2019年 85秒6-35秒8 コントレイル 2020年 86秒4-36秒4 ダノンザキッド
■京成杯 勝ち馬 2001年 85秒8-37秒4 ボーンキング 2003年 86秒2-35秒5 スズカドリーム 2004年 83秒6-35秒6 フォーカルポイント 2005年 90秒5-36秒9 アドマイヤジャパン 2006年 88秒0-35秒2 ジャリスコライト 2007年 86秒6-35秒0 サンツェッペリン 2008年 87秒0-35秒9 マイネルチャールズ 2009年 87秒4-35秒3 アーリーロブスト 2010年 88秒7-34秒9 エイシンフラッシュ 2011年 84秒6-36秒3 フェイトフルウォー 2012年 86秒1-34秒5 ベストディール 2013年 87秒6-34秒7 フェイムゲーム 2014年 84秒9-36秒2 プレイアンドリアル 2015年 87秒5-34秒8 ベルーフ 2016年 86秒8-34秒6 プロフェット 2017年 86秒9-35秒6 コマノインパルス 2018年 84秒9-36秒3 ジェネラーレウーノ 2019年 85秒9-35秒3 ラストドラフト 2020年 86秒7-35秒4 クリスタルブラック 2021年 88秒2-34秒9 グラティアス
■弥生賞 勝ち馬 2001年 87秒5-38秒2 アグネスタキオン 2002年 87秒4-34秒6 バランスオブゲーム 2003年 86秒4-35秒9 エイシンチャンプ 2004年 85秒9-34秒6 コスモバルク 2005年 88秒1-34秒1 ディープインパクト 2006年 86秒8-34秒7 アドマイヤムーン 2007年 85秒7-34秒8 アドマイヤオーラ 2008年 86秒7-35秒1 マイネルチャールズ 2009年 87秒7-35秒8 ロジユニヴァース 2010年 90秒0-36秒1 ヴィクトワールピサ 2011年 86秒8-34秒2 サダムパテック 2012年 88秒9-35秒0 コスモオオゾラ 2013年 86秒0-35秒0 カミノタサハラ 2014年 85秒7-35秒7 トゥザワールド 2015年 86秒1-35秒7 サトノクラウン 2016年 86秒3-33秒6 マカヒキ 2017年 88秒6-34秒6 カデナ 2018年 86秒9-34秒1 ダノンプレミアム 2019年 86秒6-36秒7 メイショウテンゲン 2020年 86秒8-36秒1 サトノフラッグ 2021年 87秒5-34秒5 タイトルホルダー
■皐月賞 勝ち馬 2001年 84秒8-35秒5 アグネスタキオン 2002年 83秒5-35秒0 ノーリーズン 2003年 86秒9-34秒3 ネオユニヴァース 2004年 84秒7-33秒9 ダイワメジャー 2005年 85秒2-34秒0 ディープインパクト 2006年 84秒8-35秒1 メイショウサムソン 2007年 84秒0-35秒9 ヴィクトリー 2008年 86秒5-35秒2 キャプテントゥーレ 2009年 84秒1-34秒6 アンライバルド 2010年 85秒6-35秒2 ヴィクトワールピサ 2012年 86秒7-34秒6 ゴールドシップ 2013年 82秒7-35秒3 ロゴタイプ 2014年 85秒0-34秒6 イスラボニータ 2015年 84秒3-33秒9 ドゥラメンテ 2016年 83秒9-34秒0 ディーマジェスティ 2017年 83秒6-34秒2 アルアイン 2018年 85秒7-35秒1 エポカドーロ 2019年 84秒0-34秒1 サートゥルナーリア 2020年 85秒8-34秒9 コントレイル ※2001年以降、ホープフルSは新設の2014年以降 ※東京開催の2002年京成杯、2011年皐月賞は除く
実際のところ、上記一覧表を見ただけではピンと来ないものと思われますが、それぞれの平均を出してみると、かなり意外な傾向が見えてきます(下記)。前半タイムにしても後半タイムにしても、皐月賞だけが突出して速いということです。
■ホープフルS 勝ち馬平均 前半1400m通過86秒2 ラスト600m35秒5
■京成杯 勝ち馬平均 前半1400m通過86秒7 ラスト600m35秒5
■弥生賞 勝ち馬平均 前半1400m通過87秒1 ラスト600m35秒2
■皐月賞 勝ち馬平均 前半1400m通過84秒8 ラスト600m34秒7
ひとくちにレーテンナン秒速いと言われてもピンと来ないかも知れませんが、馬身着差にすると0.5秒=3馬身程度、0.8秒=5馬身程度、2.0秒=12馬身以上という換算。
つまり“平均的な皐月賞勝ち馬”はホープフルSや京成杯、弥生賞勝ち馬よりも12馬身以上も先行し、勝負どころからは更に3〜5馬身スピードアップするようなレースをしているということ。ちょっと信じがたい話ですが、これが過去20年のタイム比較から見えてくる事実です。
要するに、中山芝2000m戦線各レースの一般的なレースレベルのイメージは ホープフルS 中 京成杯 低 弥生賞 中 皐月賞 高 という感じだと思われるのですが、実際は ホープフルS 低 京成杯 低 弥生賞 低 皐月賞 激高 だったということですね。タイムの話をすると必ず馬場差が云々という意見も出てくるのですが、それにしてもという話です。
持てる性能を限界まで引き出さなければならない皐月賞は、ホープフルSや京成杯、弥生賞とはまったくの別物。イメージ以上に厳しいレースだと認識すべきでしょう。緩いペースを後方から追走していたような馬は、ハナから勝負にならないのです。そういった馬を視覚的に見分ける方法こそ、私が提唱する“ラップギア”という馬券術。
ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで皐月賞を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
■プロフィール 岡村信将(おかむらのぶゆき) 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。
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