2021年05月07日(金) 18:00
最近10年に限定すると、みんなが最大目標の日本ダービーの勝ち馬は、8頭までが皐月賞からの直行馬。残る2頭は、京都新聞杯の好走馬。京都新聞杯組は本番の2着、3着馬も1頭ずつ出しているので、軽視できない直前の重賞。今年もレースが終了してから中身を確認したい。ルペルカーリア(父モーリス、母シーザリオ)から入るが、まだ1勝馬なので、勝たないと日本ダービーに出走できるとは限らない。ハイペースを追走して勝ちに出た毎日杯を振り返ると、まだ勝ち味に遅い危険は残る。
「プリンシパルS」組は不振で、最近10年では2018年の勝ち馬コズミックフォースが超人気薄(16番人気)で日本ダービーを3着したにとどまるが、直前の「上昇馬向き」という点では京都新聞杯と同じ位置にある。馬券の興味はこちらにありそうだ。
プリンシパルSがトライアルになって以降、コズミックフォースのほか、2頭に優先出走権があった当時には、1996年ダンスインザダークが(1着→2着)。1998年ダイワスペリアーが(2着→3着)、2002年マチカネアカツキが(2着→3着)、2009年アントニオバローズが(2着→3着)。本番の伏兵が含まれている歴史がある。
ジャックドール(父モーリス)の前回の2分00秒3は、好時計続出の春の阪神2000mであり、決して速い時計ではないが、途中からハナに立って「61秒7-58秒6」。最後の1ハロンは馬なりで、2着以下を9馬身も引き離してみせた。休ませて再鍛錬に成功。2着、2着だった2歳時とは見違えるようにシャープになっていた。
1800m、2000mで勝ってきた馬が多いが、先手を主張して勝ってきた馬は少なく、強気に出るとき、再度自分のリズムで流れをつくることが可能だろう。
3代母イッツインザエアー(米)は43戦16勝(中距離G1・5勝)のタフな活躍馬だった。その孫世代には輸入種牡馬ストーミングホームがいて、3代母にイッツインザエアーを持つ活躍馬にはオーストラリア産のアルヴァータ(3カ国で42戦8勝)などがいる。
直仔の牝馬エアダンサー(1983。父ノーザンダンサー)は、持ち込み馬オンエアー(1989。父セクレタリアト)の母だった。オンエアーは残念ながら故障で早世したが、素質あふれる期待馬だった。人気のファミリーで、日本にこの牝系の馬は多数輸入されている。まだ、著名な活躍馬はいないが、一族からそろそろ大物が出現して不思議はない。
ジャックドールは、快走したあと中1週でオープン挑戦はきびしい日程だが、デビュー戦は中山2000mに遠征して2着。勝ったアオイショーは先週の青葉賞に出走。2番人気に支持され直線一旦は先頭の見せ場をつくっている。新星誕生に期待したい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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